防火避難規定の解説がバージョンアップ。2016年版の登場

防火避難規定の解説 2016年版が発売されました

2012年に改訂版が出版されてから早4年あまり、防火避難規定の解説がバージョンアップしました。

4年の間に防火避難規定に関わる重要な法改正もあり、満を持して改定されたといえるでしょう。

防火避難規定関係の法検討で頼りになる防火避難規定の解説、どこが新しくなったのでしょうか。

建築物の防火避難規定の解説2016
by カエレバ





防火避難規定の解説 2016年版はここが変わった

防火避難規定の解説2016年版はどこが新しくなったかということは、日本建築行政会議のサイトにバッチリ掲載されています。

日本建築行政会議

記事作成時点ではニュースのトップになっていますが、そこをたどると、なんと改訂内容が網羅されてます。

つまり、いちいち私が解説するまでもない、と言えますが私なりに勝手にまとめます。
防火避難規定の解説に関する専用ページもありますが、こちらは2012年版の内容に関する記載までとなっています。
そのうち、更新されるでしょう。

建築物の防火避難規定の解説 2016 年版 追加・更新の概要 (PDFへのリンク)

建築物の防火避難規定の解説2012 まとめページ

用語の修正や、法改正による表現の微調整については上記PDFを確認していただくとして、私なりに重要だと思われる項目を抜粋したいと思います。

P12 7)1 階の車寄せなどに設ける大規模なひさしの耐火被覆について



なお、庇については、法第 22 条又は法第 63 条により屋根の構造として火の粉による建築物の火災の発生を防止するために必要な性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法(平 12 建告第 1361 号、平 12 建告第 1365 号)を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものの使用は可能である。


ここでは、大臣認定の材料でも使用可能であるということが明示されました。
いわゆる飛び火認定を取っているものは使用可能ということですね。

P14 9)耐火構造の外壁に木材、外断熱材等を施す場合の取扱い



解説下から 3 行目:・・・含めた認定が必要である。→・・・含めた認定が原則必要である。


この項目は、告示仕様の耐火構造であれば外壁材に木材などを貼ってもいいが、認定材は認定内容にその材料が含まれていることが条件ですよ、というものです。

つまり、「認定材の外側に木を貼りたくてもまず無理」という取扱いでしたが「原則」という文言が追加されたので、ちょっとだけ緩和されたとも受け取れます。

とはいうものの、現実的にはその原則を外れても良い場合がよくわかりませんから、今後のフォローアップ等に期待するしかなさそうです。

特定行政庁と直接掛け合えばOKを勝ち取れるかもしれませんが、民間の審査機関では苦しいように思います。

P90 1)開放廊下・開放階段の取扱い



共同住宅の開放廊下、屋外階段が、隣地から 50cm 以上かつ敷地内の建築物から 2m 以上離れており、手すりの上方において天井高さの 1/2 かつ 1.1m以上開放されている場合は、本文二行目のただし書きを適用し非常用の照明装置の設置を省略できるものとする。
なお、周囲の状況によって、通常一般照明を点灯する必要があるところについては、非常用の照明装置の設置が必要である。


これは解説が追加されたものです。
こういう、明確な記載の追加は法検討時にとても役に立ちます。

P135 の次に 2)間仕切壁を準耐火構造としない場合の「避難上有効なバルコニー」についてを新規ページとして挿入



平 26 国交告第 860 号に規定する「避難上有効なバルコニー」の構造については、次のとおりとする。

1 バルコニーは、その1以上の側面が道又は道に通ずる幅員 50cm 以上の通路その他の空地(以下、「道又は道に通ずる通路等という。」)に面し、かつ、当該道又は道に通ずる通路等に安全に避難するために必要な設備(タラップ等)を有していること。
2 バルコニーの面積は、1.2 ㎡以上とし奥行の寸法は 75cm 以上とすること。
3 屋内からバルコニーに通ずる出入口の戸の幅は 75cm 以上、高さ 120cm 以上、下端の床面からの高さは支障なく出ることができるものとすること。
4 バルコニーは十分外気に開放されていること。
5 バルコニーの床は、構造耐力上安全なものとすること。

・平成 25 年 12 月 27 日公布(平成 27 年 4 月 1 日施行)の消防法令の改正(認知症高齢者グループホーム等の高齢者施設について原則全てにスプリンクラー設備の設置を義務付け)を受け、平成 26 年 6 月 27 日公布(平成 26 年 7 月 1 日施行)の建築基準法施行令の改正が行われ、スプリンクラー設備を設けた場合や小規模で避難が極めて容易な構造とする場合について、防火対策の規制の合理化がなされた。

・この政令改正に基づき「間仕切壁を準耐火構造としないこと等に関して防火上支障がない部分を定める件(平成 26 年国土交通省告示第 860 号 平成 26 年 8 月 22 日公布・施行)」により、「小規模で避難が極めて容易な構造とする場合」が定められた。

・上記の取り扱いは、当該告示の運用として、平成 26 年 8 月 22 日国住指第 1784 号(技術的助言)で示された「3.(1)避難上有効なバルコニー」等の考え方における具体的な判断要件として上記の構造を示したものである。

・なお、本改正は住宅からグループホーム等への転用を安全に合理的な規制で行えるよう改正がなされたものであることから、上記に示す要件の判断、数値等の適用にあたり、建築物の利用者の避難上の安全性が確保されることを十分留意する必要がある。


これは、法改正により制定された緩和規定に関する、詳しい解説の追加ということになります。

くれぐれも、2直の階段の設置等を緩和できる「避難上有効なバルコニー」と混同しないよう気をつけたいところです。

平成18年から27年までの質疑応答の追加


これで、日本建築行政会議のサイトから印刷した質疑応答を挟み込んでおかなくて良くなりました。

ただ、2016年版の発刊以降も質疑応答は新たに追加されるでしょうから、これからも追加情報には気を配りたいところです。

建築物の防火避難規定の解説2016
by カエレバ

Kenkihou的防火避難規定の解説の使い方

このサイトのなかでも、事あるごとに防火避難規定の解説を持っていないようなら買うべし、とオススメしていますが防火避難規定に関してのすべてを網羅した事典的な存在であると思って入手すると肩透かしを食らうかもしれません。

日本建築行政会議が取りまとめていることからもわかるように、建築基準法の記述からは解釈が難しい、判断に迷う、というような事項を中心に取り上げられています。

結果として、防火避難規定関係の難解な規定についてのスタンダードとなり、独自の取扱をまとめている特定行政庁でない限りこの本の通りで通用します。

判断、取扱が難しい案件でも建築基準法と防火避難規定の解説とで、行政や確認審査機関と同じレベルで協議・打ち合わせできるようになるということですから、持っていたほうが良いですよ、とオススメしているということなのです。

防火避難規定について全体を網羅した参考図書となると、建築申請memoか、建築法規PROか。それが問題だ。の記事でもまとめましたが、「memo」とか「PRO」を参照するのが良いと思います。

「memo」や「PRO」も含め、市中に出回っている建築基準法の参考図書にに掲載されている図で、防火避難規定の解説に掲載されているものがそのまま使われているものも多く見かけますから、それだけの影響力があることは間違いありません。

2016年版の追加・更新情報を元に、いま手元にある2012年版を使い続けるも良し、心機一転2016年版を買い足すも良し、ですが参照しやすさから言えば2016年版をゲットして、2012年版にいままで書き込んだメモなどを2016年版に書き写して使うというのがベストのように思います。

とても重要な投資であると私は考えますが、買うか買わないかはアナタ次第です!

建築物の防火避難規定の解説2016
by カエレバ

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