配管設備の区画貫通措置についてのまとめ 第2弾

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区画を貫通するダクトと外壁開口部に接続するダクトの措置の違い

防火区画を貫通する設備配管に関する基本事項は、以下の記事にまとめてあります。

防火避難規定 防火区画 区画する防火設備や配管設備の措置について

この記事では上記の基本を踏まえつつ、法令集や告示を読み込まないとわかりにくい部分、勘違いしやすい部分をまとめました。


延焼の恐れのある部分に接続するダクトに対する措置

防火、準防火地域内の建築物、または耐火、準耐火建築物は、延焼の恐れのある部分の外壁の開口部には防火設備を設けなければなりません。
(法2条9号の2ロ、9号の3、法64条)

換気ダクトの出口も外壁の開口部ですから、当然防火設備を設ける必要があります。

設置する目的は、外部からの火災による延焼を防止するためです。

また、防火設備の仕様は、平成12年建設省告示1360号に規定されています。

防火設備の構造方法を定める件

建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二ロの規定に基づき、防火設備の構造方法を次のように定める。

第一 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百九条の二に定める技術的基準に適合する防火設備の構造方法は、次に定めるものとする。
一 建築基準法施行令第百十四条第五項において準用する建築基準法施行令第百十二条第十六項に規定する構造とすること。

二 次のイからホまでのいずれかに該当する構造とすること。
イ 鉄製で鉄板の厚さが〇・八ミリメートル以上一・五ミリメートル未満のもの
ロ 鉄骨コンクリート製又は鉄筋コンクリート製で厚さが三・五センチメートル未満のもの
ハ 土蔵造の戸で厚さが十五センチメートル未満のもの
ニ 鉄及び網入ガラスで造られたもの
ホ 骨組を防火塗料を塗布した木材製とし、屋内面に厚さが一・二センチメートル以上の木毛セメント板又は厚さが〇・九センチメートル以上のせっこうボードを張り、屋外面に亜鉛鉄板を張ったもの

三 前号イ又はニに該当するものは、周囲の部分(防火戸から内側に十五センチメートル以内の間に設けられた建具がある場合においては、その建具を含む。)が不燃材料で造られた開口部に取り付けなければならない。

四 開口面積が〇・五平方メートル以内の開口部に設ける戸で、防火塗料を塗布した木材及び網入りガラスで造られたもの

第二 第一に定めるもののほか、防火戸が枠又は他の防火設備と接する部分は、相じゃくりとし、又は定規縁若しくは戸当りを設ける等閉鎖した際にすき間が生じない構造とし、かつ、防火設備の取付金物は、取付部分が閉鎖した際に露出しないように取り付けなければならない。

ここで、「確か100φのダクトはFDにしなくてもよかったような」と気付いた方もいらっしゃることでしょう。

その根拠は特定防火設備について規定した、平成12年建設省告示1369号です。

そのなかの、第1第7号に次のように記載されています。


開口面積が百平方センチメートル以内の換気孔に設ける鉄板、モルタル板その他これらに類する材料で造られた防火覆い又は地面からの高さが一メートル以下の換気孔に設ける網目二ミリメートル以下の金網とすること。

100φのダクトの開口面積は、円の面積の公式から、5x5x3.14=78.5cm2となりますから、100cm2以内です。
ですから、鉄製の防火覆い(ベントキャップ)が設置されていれば、特定防火設備が設けられていることになり、FD(防火設備)が不要となる訳です。

単純に「100φは不要で、それを超えると必要」という覚え方では、不十分ということです。

ちなみに150φのダクトの開口面積は、7.5×7.5×3.14=176.6cm2となり、100cm2を超えているため告示1369号の条件には該当せず、FDを設けなければなりません。

防火区画、防火上主要な間仕切りを貫通するダクトに対する措置

防火区画や防火上主要な間仕切りを貫通するダクトに対する措置は、建物内での火災の延焼を防止することを目的として、要求されています。

法36条を親玉として、令112条16項(防火区画)、令114条5項(界壁、間仕切り、隔壁)に規定され、その仕様を規定しているのが昭和48年建設省告示2565号です。
また、平成12年建設省告示1376号で、設置の方法について定めています。

昭和48年建設省告示2565号
防火区画を貫通する風道に設ける防火設備の構造方法を定める件

昭和四十八年十二月二十八日
建設省告示第二千五百六十五号

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条第十六項の規定に基づき、防火区画を貫通する風道に設ける防火設備の構造方法を次のように定める。

建築基準法施行令第百十二条第十六項に掲げる要件を満たす防火設備の構造方法は、次の各号に定める場合に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。


風道が、建築基準法施行令第百十二条第一項第二号、第四項、第八項、第九項、第十二項又は第十三項の規定による防火区画を貫通する場合(二以上の階にわたり煙が流出するおそれのない場合その他避難上及び防火上支障がないと認められる場合を除く。) 次に掲げる基準に適合し、かつ、別記に規定する漏煙試験に合格した構造の防火ダンパーとすること。
イ 鉄製であること。
ロ 昭和四十八年建設省告示第二千五百六十三号第一第二号ハ、同号ニ(1)及び同号ホからトまでに掲げる基準に適合すること。この場合において、同号ヘ(1)中「防火戸」とあるのは、「防火ダンパー」と読み替えるものとする。
ハ 煙感知器は、次に掲げる場所に設けるものであること。
(1) 間仕切壁等で区画された場所で、当該防火ダンパーに係る風道の換気口等がある場所
(2) 昭和四十八年建設省告示第二千五百六十三号第一第二号ニ(2)(ii)及び(iii)に掲げる場所

二 主要構造部を準耐火構造とし、かつ、地階又は三階以上の階に居室を有する建築物において、二以上の階に換気口等(空気吹出口又は空気吹込口をいう。以下同じ。)を有する同一系統の風道が、換気口等を有する階の直上の耐火構造等の防火区画である床を貫通する場合(二以上の階にわたり煙が流出するおそれのない場合その他避難上及び防火上支障がないと認められる場合を除く。) 前号に定める構造方法

三 前二号以外の場合 次のいずれかに定める構造の防火ダンパーとすること。

イ 鉄製で、昭和四十八年建設省告示第二千五百六十三号第一第二号ハからトまでに掲げる基準(同号ニ(2)(i)及びヘ(1)に掲げる基準にあつては、「防火戸」とあるのは、「防火ダンパー」と読み替えるものとする。)に適合する構造で、かつ、別記に規定する漏煙試験に合格したもの
ロ 次のいずれかに該当する構造で、かつ、別記に規定する漏煙試験に合格したもの
(1) 鉄製で、昭和四十八年建設省告示第二千五百六十三号第二第二号ロに掲げる基準に適合するもの
(2) 鉄製で、昭和四十八年建設省告示第二千五百六十三号第二第三号ハ(1)及び(3)に掲げる基準に適合する構造であり、かつ、温度ヒューズが、当該温度ヒューズに連動して閉鎖するダンパーに近接した場所で風道の内部に設けられたもの
(別記略)

平成12年建設省告示1376号
防火区画を貫通する風道に防火設備を設ける方法を定める件

平成十二年五月二十六日
建設省告示第千三百七十六号

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条第十六項の規定に基づき、防火区画を貫通する風道に防火設備を設ける方法を次のように定める。

第一
主要構造部に堅固に取り付けること。
第二
換気、暖房又は冷房の設備の風道が建築基準法施行令第百十二条第十五項に規定する準耐火構造の防火区画を貫通する部分に近接する部分に防火設備を設ける場合にあっては、当該防火設備と当該防火区画との間の風道は、厚さ一・五ミリメートル以上の鉄板でつくり、又は鉄網モルタル塗その他の不燃材料で被覆すること。
第三
天井、壁等に一辺の長さが四十五センチメートル以上の保守点検が容易に行える点検口並びに防火設備の開閉及び作動状態を確認できる検査口を設けること。

要求される貫通措置について簡単にまとめると
  • 厚さ1.5mm以上の鉄製の防火ダンパーを設置する
  • 防火ダンパーは漏煙試験に合格したものを用いる
  • 主要構造部に強固に取り付ける
  • 点検口(検査口)を設ける
となります。

ここまで読んでくるとわかりますが、防火区画を貫通するダクトに求められる措置と、延焼の恐れのある部分にある外壁の開口部に求められる措置は全くの別物です。

しかし、「100φのダクトはFD不要」とだけ覚えていると、区画貫通措置も不要としてしまう可能性がありますので、正しく理解しておかなければなりません。

また、防火設備、特定防火設備という言葉だけを追っても、同様なミスを犯す恐れがあります。

令112条の14項、15項、16項はそれぞれ別物として考えておく必要があります。

大変面倒ですが、一度法令集とそこから繋がる告示を読めばなんとなく頭の片隅に残るはずです。
時間を作って、読んでみるようにしてください。

配管設備の区画貫通措置の補足

樹脂製の給水管(給湯)が区画を貫通する場合

給水管、配電管等が防火区画等を貫通する部分の措置については、令129条の2の5第1項7号に記載されています。

この号のイロハのいずれかに適合する構造としなければなりませんが、その配管の樹脂がポリエチレン管やポリブテン管のような可燃性樹脂の場合は、ハの認定工法を採用するしかありません。

(給水、排水その他の配管設備の設置及び構造)
第百二十九条の二の五
建築物に設ける給水、排水その他の配管設備の設置及び構造は、次に定めるところによらなければならない。
(抜粋)

給水管、配電管その他の管の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に一メートル以内の距離にある部分を不燃材料で造ること。

給水管、配電管その他の管の外径が、当該管の用途、材質その他の事項に応じて国土交通大臣が定める数値未満であること。

防火区画等を貫通する管に通常の火災による火熱が加えられた場合に、(中略)防火区画等の加熱側の反対側に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものであること。

イでは、不燃材料で造ることが要求されており、不可です。
ロでは、平成12年建設省告示1422号に仕様が規定されていますが、管の材質を「難燃材料又は硬質塩化ビニル」としなければならず、不可となります。

したがって、残されたハの認定工法以外、対応策が無いということになります。

機械排煙のための排煙ダクトが区画を貫通する場合

排煙設備のダクトが同一階のみの防火区画を貫通する場合は、貫通部分には防火ダンパーを設置する必要はありません。

もし設置してしまうと、当然ダクトが閉鎖されますから、火災の初期段階における排煙機能を妨げることになってしまいます。
(ほとんどありえない計画として、平屋の建築物で機械排煙設備を設けるような場合が該当すると考えられます。ただし、かなりレアケースと考えられますので機械排煙の意味合いと区画貫通措置の役割を理解した上での考え方となると思います。基本的には、機械排煙のダクトも防火区画を貫通する部分は措置が必要とお考えください。)

ただし、排煙設備のダクトが上下階に渡る場合は事情が異なります。

排煙設備のダクトが上下階に渡る場合は、そのダクトは防火区画されたダクトスペースを通り排煙機に接続されるように設計する必要があります。

そしてその縦ダクトに、フロアごとのダクトが接続する部分は防火区画となっている壁を貫通しますから、その部分に温度ヒューズ付き防火ダンパーを設置します。
この時、縦ダクトには防火ダンパーを設置しません。

排煙ダクトが上下階に渡る場合は、上階等に火災を拡大させないために、排煙温度が高温に達した場合には温度ヒューズ付き防火ダンパーが作動して、密閉防煙へと移行させるわけです。
これにより、他の排煙設備の機能を確保することにもなります。

設備設計で必須の参考図書

この記事の作成にあたり、参考にした書籍は建築設備設計・施工上の運用指針 2013年版です。

建築設備設計施工上の運用指針
残念ながら、Amazonや楽天といった通販では入手できませんので、全国官報販売協同組合より購入してください。

設備設計の方はすでにお持ちだと思いますが、意匠設計の方も設備設計者まかせにせず、ひと通りは押さえておくほうが設計もスムーズに進むと思います。

建築設備設計基準 平成27年版
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