既存不適格建築物への増築 建築基準法第20条の適用は?

 

既存不適格建築物への増築において、構造適判や安全証明書は必要か?

時代はストック活用へ大きく舵を切っているのは皆様ご存知のとおりです。
既存不適格建築物への増築について、より良く知っておく必要があります。

例えば耐震診断を行い耐震診断基準に適合している既存不適格建築物にエキスパンションジョイントを設けて増築する場合。
増築後の建築物全体で見ると、法20条第2号に該当し、構造適合性判定、いわゆる適判が必要なのではないか。つまり、構造1級建築士の関与が必要なのか不安になります。

構造緩和を受けられるケースの場合、適判は不要

結論から言いますと、これは関与不要、構造適判も不要となります。

一の建築物としては建築基準法第20条第二号相当となるような建築物でも、建築基準法第86条の7において、既存不適格建築物への増築においては構造規定が緩和されるので、法20条の適用は除外されることになります。
(一の建築物についてはこちら

法86条の7は多くの条文が出てきますから、読むのが大変苦しいですが、こういう機会にとりあえず「第20条」という記載があることだけでも確認しておくといいかもしれませんね。

 

(既存の建築物に対する制限の緩和)
建築基準法第八十六条の七 :抜粋
第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。以下この条、次条及び第八十七条において同じ。)の規定により第二十条、第二十六条、第二十七条・・・これらの規定は、適用しない

 

構造適判が不要→計算書には安全証明書が必要

一方で、建築士法第20条第2項で規定される安全証明書ですが、これは増築部分の構造計算書に添付する必要があります。

建築士法「第20条第2項」と同「第20条の2第1項」が、大変良く似ているので混同してしまいがちかもしれませんが、これも頑張って法令集で確認しておけば、今後が楽になると思います。

ちなみに「耐震診断」は「耐震補強設計」ではないので、構造計算とはみなされないため、安全証明書が不要となっています。

また、「耐震診断」は、「新耐震基準」に適合させることでも対応可能ですので、昭和56年6月1日以降に建築確認済を受けて、検査済証がある建築物であることを証明出来れば自動的に「新耐震基準」に適合することになります。

 

建築士法第二十条  :抜粋
2  一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、構造計算によつて建築物の安全性を確かめた場合においては、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨の証明書を設計の委託者に交付しなければならない。ただし、次条第一項又は第二項の規定の適用がある場合は、この限りでない。
建築士法第二十条の二  :抜粋
構造設計一級建築士は、第三条第一項に規定する建築物のうち建築基準法第二十条第一号 又は第二号 に掲げる建築物に該当するものの構造設計を行つた場合においては、前条第一項の規定によるほか、その構造設計図書に構造設計一級建築士である旨の表示をしなければならない。構造設計図書の一部を変更した場合も同様とする。

 


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