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建築ニュース 長崎グループホーム火災を建築基準法で因数分解する

公開日: : 最終更新日:2013/10/13 建築関連ニュース, 防火避難関係規定 ,

今年(平成25年)の2月8日に発生した、長崎市でのグループホーム火災。
この火災では、またしても様々な違法行為や脱法行為が犠牲者を増やした結果となりました。
こういった施設の増加は今も止まらないものと考えられますが、時代背景や、経営サイドの話、社会への影響などを語り始めたらきりがありませんが、このサイトではそういったところに切り込むのはふさわしくないので、ここは冷静に建築基準法とその関係法令に関して見て行きたいと思います。

まず、ニュースでも大きく取り上げられている「スプリンクラー」の設置について
スプリンクラーの設置については、消防法施行令第12条1項1号に記載されています。

(スプリンクラー設備に関する基準)
第十二条  
スプリンクラー設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
一  
別表第一(六)項ロに掲げる防火対象物(第三号及び第四号に掲げるものを除く。)で延べ面積が二百七十五平方メートル以上のもののうち、火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するもの以外のもの

ここで別表1には、さまざまな建築物の用途が記載されています。該当する(6)は建築基準法で言うところの「児童福祉施設等」に当たる用途が記載されていますが、建築基準法よりも、より詳細に用途が記載されていますので、ぜひ一度ご確認ください。
そして、今回火災のあった施設は、グループホームとしての用途が「270㎡」だったと言います。
条文によりますと、275㎡以上でないと対象にならないので、今回のグループホームは設置対象外だったというのです。
事実は今後明らかになると思いますが、「270」と「275」の数値の近さを疑いたくなってしまうのは、穿った見方といえるでしょうか。
行政からの再三の設置要請があったようですが、義務対象でないので強制力がなく、実際設置するにしても水道圧の関係でポンプ等が必要になり、かなり工事費も割高になってしまうとか。
今後、こういった部分にも法的影響力が及ぶような改正が行われるかもしれませんね。

では建築基準法はどうでしょうか。
これも、実態を知るほど呆れてしまうような建築物であることがわかります。
ニュースでは防火戸の作動不備が取り上げられていましたが、もうひとつ大きな違反として、地上4階建ての建築物なのに1~3階が鉄骨造で、4階が木造だというのです。
これはスプリンクラー云々以前の、圧倒的違法建築過ぎます。
ちなみに、ベルハウス東山手でグーグルマップ検索すると位置が簡単にわかります。
そして長崎市のホームページに、都市計画図が掲載されておりそれらを照合しますと、敷地の都市計画情報は

1種中高層 60/200 準防火地域

であることがわかります。

これらの情報から、建築基準法で規定される条文で最重要なものを取り出してみました。

(耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物)

第二十七条  次の各号の一に該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。ただし、地階を除く階数が三で、三階を下宿、共同住宅又は寄宿舎の用途に供するもの(三階の一部を別表第一(い)欄に掲げる用途(下宿、共同住宅及び寄宿舎を除く。)に供するもの及び第二号又は第三号に該当するものを除く。)のうち防火地域以外の区域内にあるものにあつては、第二条第九号の三イに該当する準耐火建築物(主要構造部の準耐火性能その他の事項について、準防火地域の内外の別に応じて政令で定める技術的基準に適合するものに限る。)とすることができる。
一  別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄の当該各項に掲げる用途に供するもの

竪穴区画
9  主要構造部を準耐火構造とし、かつ、地階又は三階以上の階に居室を有する建築物の住戸の部分(住戸の階数が二以上であるものに限る。)、吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる公衆便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)については、当該部分(当該部分が第一項ただし書に規定する用途に供する建築物の部分でその壁(床面からの高さが一・二メートル以下の部分を除く。)及び天井の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この項において同じ。)の仕上げを準不燃材料でし、かつ、その下地を準不燃材料で造つたものであつてその用途上区画することができない場合にあつては、当該建築物の部分)とその他の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。)とを準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で区画しなければならない。

(準防火地域内の建築物)
第六十二条  準防火地域内においては、地階を除く階数が四以上である建築物又は延べ面積が千五百平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、延べ面積が五百平方メートルを超え千五百平方メートル以下の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物とし、地階を除く階数が三である建築物は耐火建築物、準耐火建築物又は外壁の開口部の構造及び面積、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物としなければならない。

(大規模の建築物の主要構造部)
第二十一条  高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、第二条第九号の二イに掲げる基準に適合するものとしなければならない。ただし、構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物(政令で定める用途に供するものを除く。)は、この限りでない。

法2条
九の二  耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1)
耐火構造であること。
(2)
次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
(i)
当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii)
当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。

耐火要求は建築基準法27条と62条の両方が該当し、いずれも違反です。
また、4階建てなので、建築基準法21条も該当しそうですが。4階が木造の時点で違反ですね。
さらに防火区画は、建築物が準耐火構造にすらなっていないことが考えられますが、要件としては求められる用途、規模です。しかしこれはニュースでもあるように、設置はあるものの、煙感知器連動にはなっておらず、当然動作しませんから被害が拡大しました。
関連条文は他にもありますが、このように、根本的な防火避難規定が破綻していることがわかります。
当然ながら、耐震性もかなり危険であることが推察されます。

こういう事故があるたび、建築業界に身をおくものとして、設計行為の責任を通関させられます。
経済活動とも密接に絡んでいるため、施主やテナント経営者、建設会社等、関係者全員のモラルが少しずつずれた結果、このような第三次が生み出されてしまうのだと思います。

あまり偉そうなことを語れる立場ではありませんので、感想はこのくらいにしておきます。
大した分析ではありませんが、このような事故は因数分解的に解釈すると、実際の仕事でも本質を理解しながら役立てることができると思いました。

 

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