防火区画:スパンドレルのまとめ(令112条10項、11項)

注:最新の令112条はこちらの記事でご確認ください。記事内の項ずれは適宜読み替えてください。ご不便をおかけしますがご了承ください。
【2020年(令和2年)版】 基準法施行令112条(防火区画関連)最新条文(告示番号付き)

令112条第10項、第11項に規定されている、スパンドレルの規定についてまとめました。
スパンドレルの要件、構造等について説明します。

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スパンドレルの意味、役割

令112条第10項は、いわゆる「スパンドレル」についての規定です。

所定の防火区画によって建築物の内部が区画されても、その区画が接する部分がガラス張りだった場合、火災時に外壁や外気を介して、隣の区画や上階に火災が延焼してしまう可能性があります。
そこで、令112条第10項により、防火区画となっている床や壁、または防火設備などに接する外壁について、その接する部分を含み所定の構造を定めて、延焼の拡大を防ぎます。
ここで設ける、壁や床、庇、ソデ壁の総称を「スパンドレル」と呼びます。英語では、「腰壁」と訳されることもあるようです。

スパンドレルの規定、構造、設置位置

令112条第10項、11項の概略

スパンドレルの規定に関する条文は、以下のようになっています。

10

  • 第1項から第4項までの規定による第百十五条の二の二第一項第一号に掲げる基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁(第2項に規定する防火上主要な間仕切壁を除く。)若しくは特定防火設備、
  • 第5項の規定による耐火構造の床若しくは壁若しくは法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備
  • 又は前項の規定による準耐火構造の床若しくは壁若しくは法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備に接する外壁

については、当該外壁のうちこれらに接する部分を含み幅九十センチメートル以上の部分を準耐火構造としなければならない。
ただし、外壁面から五十センチメートル以上突出した準耐火構造のひさし、床、そで壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場合においては、この限りでない。
11
前項の規定によつて準耐火構造としなければならない部分に開口部がある場合においては、その開口部に法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備を設けなければならない。

第10項は読みやすいように、意味の別れる部分で段落を分けました。
第10項では、第1項から第5項までと、第9項(条文中は前項と記載されています)の区画についてはスパンドレルを設けるよう規定しています。

つまり、スパンドレルの設置が必要な防火区画は、第1項から第4項までのいわゆる面積区画第5項の高層区画第9項の竪穴区画で、スパンドレルの規定よりも後ろに記載されている、第11項、第12項の異種用途区画については、スパンドレルの規定の適用を受けないことが分かります。

スパンドレルの具体的な構造等について

スパンドレルの設置や構造については、それほど難しい解釈等は必要ありません。

以下の3点にまとめることが出来ます。

  • 防火区画に接する外壁について、接する部分を含み幅90cm以上を準耐火構造とする 
  • 外壁面から50cm以上突き出した、庇、床、ソデ壁を設ける 
  • スパンドレルとした部分に開口部を設ける場合は、防火設備とする

建築関係の参考図書でもよく見かける図を一応描いてみたので、貼っておきます。

▼スパンドレルの概略 外壁、ソデ壁、庇
スパンドレル 説明1

▼スパンドレルの概略 開口部を含む場合
スパンドレル 説明2

スパンドレルに設ける防火設備は第11項に記載があるように、「法2条9号のニロに規定するもの」ということで、これは令109条の2に規定される「20分の遮炎性能を有する防火設備」であればよく、特定防火設備(60分の遮炎性能)までは要求されていません。

なお、令112条第15項にも記載があるように、スパンドレル部分も防火区画と同様に、配管設備が貫通する場合は、FD等の防火設備を設けるなどの措置が必要になりますから、注意してください。

スパンドレルに要求される性能についてはこちらにまとめました
防火区画:スパンドレルに要求される性能について

建築物の防火避難規定の解説2016
by カエレバ

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