建築確認Tips 4号特例で見落としがちな規定を再確認しておく

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4号特例と3号特例の審査除外規定の相違点

【平成30年の法改正で小規模の異種用途区画は削除されました。詳しくは「平成30年改正のパブコメで政令などの改正内容を先取り」でご確認ください。法改正経緯を知るという意味で、記事はそのまま残します。】

「4号」に惑わされないために

建築確認における「4号特例」というコトバは、世間では2通りの意味で使われています。
一つは、法6条1項4号建築物に対して適用される特例、という意味の「4号特例」
もう一つは、施行令10条4号に規定される特例という意味での「4号特例」
この記事では、2番めの意味の特例について解説していますので、まずは勘違いしないようにお気をつけ下さい。
なお、4号建築物に対して3号特例と、4号特例の2種類があるという意味がいまいちピンとこないという場合は、過去記事に建築確認の特例に関してまとめたものがありますので、参照ください。

参照記事リンク
建築確認申請での○号建築物と○号特例の区別がわかりにくい
建築確認の特例の区別は意外と単純だった
建築確認申請での特例のメリットや審査対象について

特例であっても除外されない規定は覚えておきたい

3号4号に共通して審査が除外される規定

構造審査が省かれるのは、3号特例も4号特例も同様です。
もっといえば、確認申請で審査が除外される規定は、完了検査でも当然に除外されますから、基準法通りで捉えると、3号もしくは4号特例を受けられる建築物の構造に関して、完了検査で検査員が構造に関して指摘や指導を行うという場合は、よっぽど目に余る違法性がある場合ということになります。

4号特例で除外されない規定

ここで、具体的に3号特例と4号特例でもっとも注意を払うべき違いについて説明します。

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まずは法22条、23条関連。
画像は3号特例と4号特例で、建築確認の審査の対象になるかどうか(図面に明示する必要があるかどうか)の区別を示しています。
3号特例では、建築地が22条区域内であっても、特例として審査されませんから屋根や延焼ライン内の外壁の仕様は明示する必要がありませんが、4号特例となると図面に記載しなければなりません。
屋根も基本的に不燃材で葺く必要があります。

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法28条関係
4号特例では、火気室に関する規定も審査対象です。
防火、準防火地域内であったり、住宅以外の用途に供する部分が大きいため、審査対象となってくるわけです。

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法35条から35条の3。
ここが3号特例と4号特例の最大の違いの一つです。
3号特例にくらべ4号特例を受ける建築物は、火災等が発生した場合の影響が大きい建築物のため、防火避難関係の規定について、特例を受けない建築物と同様に審査されます。

無窓居室のチェックや、内装制限に関する規定、自動車車庫が50㎡を超える場合の防火区画など、3号特例の住宅に比べるとだいぶ手間がかかります。

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法61、62、64条。
防火、準防火地域内であれば当然チェックが必要です。
これは、そんなにうっかり忘れることはないと思います。
ただ、法61,62条をよく読んだことがない場合、住宅に付属する門や塀にも規制がかかっているのに気付かない恐れがあります。

4号特例で「やっちまった」パターンの確認申請

消防同意にかかる日数を見誤った。

防火、準防火地域内に建築する計画であれば、消防同意を取らないと、というアタマにすぐなります。
しかし、事務所併用住宅なんかの場合で、事務所部分が50㎡を超えているような計画だと、ついつい消防同意のことがアタマからすっかり飛んでしまうことがあります。
消防同意の取り方も地域差があるようですが、行政に建築確認を申請するような場合は、申請より先に消防同意をもらってからでないと建築確認を受け付けてさえもらえません。
指定確認検査機関だと、消防同意の書類を申請書に添付して、指定確認検査機関から消防へ同意を求めるような流れです。

ここで、ちょっと脱線しますが、建築基準法の93条に消防同意に関する規定があります。条文が結構長いので省きますが、本来消防同意は、特定行政庁または指定確認検査機関が消防長もしくは消防署長に求めるものであって、申請者(代理者)が直接同意を求めるのは、厳密に言えば法に即していないわけです。
ですから本来は行政に建築確認を申請する際に、先に消防同意を入手させること自体、お役人の怠慢なのでは、とぼやきたくなるわけです。

とまあ、いずれにしろ消防同意を取るには住宅であっても2,3日はかかりますから、それだけ焦りが募ります。
3号か4号かの違いだけですが、手間や段取りはだいぶ違ってくるわけです。

50㎡を超えるビルトインガレージがある一戸建て住宅に防火区画が無かった。

一戸建ての住宅で50㎡を超えるビルトインガレージがあるようなプランの場合、住宅以外の用途が50㎡を超えているのですから、消防同意が必要になるのは上で書きました。
ここで、消防用の図書を用意したから大丈夫!、と満足していてはダメです。

除外されない規定にあるように、4号特例では防火、避難関係は審査対象ですから省くことが出来ません。
自動車車庫が50㎡を超えいていれば、法24条に該当し、令112条12項の「異種用途区画」が発生します。

【平成30年の法改正で小規模の異種用途区画は削除されました。詳しくは「平成30年改正のパブコメで政令などの改正内容を先取り」でご確認ください】

その他の部分との区画を準耐火構造でし、なおかつ開口部は防火設備で「遮煙性能」が要求されます。
建築主との間で、コスト面の段取りが済んでしまっているような場合、ここに来てのコストアップは、モメる原因となります。

というよりも、勘違いしてはならないのは、「特例だからといって、審査対象外の規定はフリーパス」では無い、ということ。
確認の特例が受けられる建築物であっても、建築基準法の規定を満足させなくてはいけません。
当たり前です。

ただ、特例物件ばかり扱っていると、ついついそういう思考回路になってしまいがちなのです。
普段と違うことをやる時って、ちょっと慎重になりますよね、というかなるべきなのです。
住宅の設計では、異種用途区画なんて遠い世界のことのように感じますが、実は身近に潜んでいるわけです。

確認の特例まとめ

3号と4号の違いをしっかりと理解する

例えば木造2階建ての一戸建て住宅で、防火、準防火地域の外にあれば3号特例、防火、準防火地域の内側にあれば4号特例となります。
防火準防火地域の内外という違いだけ、と言ってしまえばそれだけですが、そのせいで受ける制限が大幅に異なってくるわけですから、3号特例では各必要のなかった図面や資料が4号特例では必要になるわけです。
もし、「一戸建ての住宅だから3号特例」という安易な思考回路があるようなら、即座に改めるべきです。

特例に甘えない

これは法制度そのものに関わる部分であり、建築基準法がザル法などと言われる所以でもありますが、逆に特例制度がなければ、住宅建築業界が受けるダメージは計り知れないわけで、急に全ての建築物の確認申請で、構造計算の添付も必須、とはなるわけもありません。
だからこそ、建築士の責任のもとに、確認の特例制度があるのです。

どうして特例制度があるのか、今一度考えながら、特例のメリットを享受し続けるために、やらなければならないことをしっかりと実行していくしか無いわけです。

【平成30年の法改正で小規模の異種用途区画は削除されました。詳しくは「平成30年改正のパブコメで政令などの改正内容を先取り」でご確認ください。法改正経緯を知るという意味で、記事はそのまま残します。】

建築基準法 目からウロコの確認申請
by カエレバ

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