特定避難時間等倒壊防止建築物の定義についての簡単なまとめ

注:最新の令112条はこちらの記事でご確認ください。記事内の項ずれは適宜読み替えてください。ご不便をおかけしますがご了承ください。
【2020年(令和2年)版】 基準法施行令112条(防火区画関連)最新条文(告示番号付き)

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特定避難時間等倒壊防止建築物の定義

特定避難時間等倒壊防止建築物の定義は、建築基準法施行令第109条の2の2に規定されています。

 

第109条の2の2
法第2条第9号の三 イに該当する建築物及び法第27条第1項 の規定に適合する特殊建築物(第110条第二号に掲げる基準に適合するものを除く。以下「特定避難時間倒壊等防止建築物」という。)の地上部分の層間変形角は、150分の1以内でなければならない。ただし・・・(以下略)

ここで、この条文の読み方としてはカッコ書きにある「特定避難時間倒壊等防止建築物」がどの部分を指しているのかをしっかり把握する必要があります。

カッコ書きの前に法第2条第9号の三 イに該当する建築物及び法第27条第1項 の規定に適合する特殊建築物とありますが、カッコ書きのなかで「除く」としているのは及び以下の「法第27条第1項 の規定に適合する特殊建築物」だけです。

つまり、特定避難時間等倒壊防止建築物とは
「法第27条第1項 の規定に適合する特殊建築物のうち第110条第二号に掲げる基準に適合するものを除いたもの」
となります。

法第2条第9号の三 イに該当する建築物とは、条文に記載されているとおり準耐火建築物ですから特定避難時間等倒壊防止建築物ではありません。

また、法第27条第1項 の規定に適合する特殊建築物のうちから除かれる建築物についての規定である、施行令110条第二号の詳細は条文を確認していただきたいのですが、耐火構造等に関する規定が記載されています。

ごちゃごちゃとわかりにくくなってしまいましたが、特定避難時間等倒壊防止建築物とは結局のところ、「耐火建築物でも、耐火構造建築物でもなく、準耐火建築物でもない建築物なんだけど、法第27条第1項 の規定に適合する特殊建築物」ということになります。

基準法と施行令、告示との関連についてはこちらの記事(新:法第27条第1項の法関連と特定避難時間倒壊等防止建築物)を参照いただくと、より理解が深まると思います。

とっても複雑なので、ぜひじっくり時間をかけて読み込んでいただきたいな、と思います。

時間がない人向けの特定避難時間等倒壊防止建築物の定義

最初の項目では、ぜひじっくり時間をかけて特定避難時間等倒壊防止建築物について理解を深めていただきたい、と書きました。

でも
正直そんな暇なんかねえ、さっさと確認をおろして着工しないと引き渡しに間に合わねえんだよ
という方も多いことでしょう。

そこで、もっと簡単に特定避難時間等防止建築物の考え方をまとめます。

かなり乱暴ですが、「特定避難時間等倒壊防止建築物とは、ほぼ申請書の4面に出てくるだけ」と言ってしまっても良いくらいです。

建築確認申請の申請書を作成するときに、4面5欄でどこにチェックを入れるべきか、というくらいしかよっぽど特殊なケース以外では考える必要がありません。
(本当はしっかり理解して欲しいですが、時間がない方向けなのでかなり端折ってます)

法27条1項で要求される耐火性能は、延焼ライン内部分の防火設備について「片面20分」の遮炎性能ですが、一般的に流通している防火設備は「両面20分」の性能がありますので、その一般流通品を採用すると、耐火構造建築物は耐火建築物に、特定避難時間等倒壊防止建築物は準耐火建築物にレベルアップしてしまうわけです。

どうしてこんなにややこしいことになったのかは、国交省のサイトなどでお調べください。

話を戻しまして、そうすると、法27条1項で耐火構造建築物または特定避難時間等倒壊防止建築物の要求があるので、4面5欄は少なくとも該当する欄にチェックを入れ、さらに防火設備は両面20分なので、耐火建築物または準耐火建築物の該当するものにもチェックを入れる、ということになるわけです。

つまり、2箇所の四角にチェックが入るということです。

4面のチェックの入れ方

逆に言うと、法27条1項で耐火要求のない建築物でありながら、準耐火建築物の仕様にしたもの(例えば防火壁の設置を避けるため準耐火建築物にしたもの)については、4面5欄は特定避難時間等倒壊防止建築物の欄のチェックは不要になります。

2箇所にチェックを入れなくてはならない建築物については、それぞれ要求される規定が違うので、どちらか1箇所だけで良いというわけにはいきません。恐らく申請先で修正を求められるでしょう。
国交省のQ&Aでも言及されています。

法改正前から耐火建築物または準耐火建築物としてきた用途・規模の建築物については

まず設計した建築物が該当する耐火または準耐火の欄をチェックし、法27条で耐火要求があるものについては耐火構造建築物、または特定避難時間等倒壊防止建築物の欄もチェックする

という考え方で良いと思います。
ちなみに、準耐火建築物と耐火構造建築物の組み合わせ、耐火建築物と特定避難時間等倒壊防止建築物の組み合わせというのはありません。

くどいようですがかなり乱暴なので、時間ができたらじっくり理解していただきますよう、お願いします。

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