材料・構造の防火性能の考え方

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防火性能の考え方

材料の不燃性、建築物の耐火性能、耐火構造

建築基準法施行令第5章の2(令第128条の3の2以降)の内装制限規定にある、「難燃材料」や「準不燃材料」、法27条等にでてくる、「耐火建築物」や「準耐火建築物」の構造をあらわす「耐火構造」や「準耐火構造」

これらの用語は、平成12年6月に施行された建築基準法の改正で、意味合いの変化がありました。
しかし、現在でも「準耐火構造」や「準不燃材料」という言葉の位置づけを勘違いしている人もいるのではないかと思います。
とくに「耐火構造」と「準耐火構造」の取り違いによる仕様変更はダメージが大きいかと思われます。
この機会に、改めて理解しておきたいところです。

仕様規定から性能規定への移行

平成12年6月の法改正でそれまで「仕様規定」で防火、耐火性能を規定していましたが、技術的な工夫により低コスト化も可能となる、「性能規定」が導入されました。
これにより、法文の読み方が変わってしまい、ともすると勘違いしてしまいがちな条文もあるので紹介します。

性能規定についての理解不足が生む勘違い

最も間違いやすいのは、令112条の防火区画の規定。

第百十二条 (抜粋)
主要構造部を耐火構造とした建築物又は法第二条第九号の三 イ若しくはロのいずれかに該当する建築物で、延べ面積()が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計千五百平方メートル以内ごとに第百十五条の二の二第一項第一号に掲げる基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は・・・

ここにでてくる「準耐火構造」が、「耐火構造」を包含した意味であることをわかっていないと、痛いミスに繋がります。
例えば、そもそも耐火建築物で計画している建築物があって、防火区画を準耐火構造で設計してしまうような。

これは、条文を額面通り読めば間違っていませんが、「準耐火構造」には「耐火構造」も含まれていること、法2条9の2により、耐火建築物の主要構造部は耐火構造にしなければならないので、法に適合しないことになるのです。

法文の書き方がわかりにくく、「準耐火構造以上の適当な構造」とでも書いてくれればわかりやすいのにと思った方の気持ちもわかります。
しかし、「以上、以下」という言葉は数字上の大小を表すものとされているので、正しい表現として認められていません。

ですから、これらの包含関係をしっかり理解して、正確に建築基準法を読むことが重要なのです。

仕様規定における耐火構造・不燃材料の包含関係の図解

防火と不燃

仕様規定から性能規定になってからは、それまではそれぞれの構造や材料を条文ごとにいちいち個別に記載していたのが、「難燃材料」と書けば難燃、準不燃、不燃のすべてを含むという意味で表現できるようになりました。

いってみれば、「大学卒業」は「高校卒業」と「中学卒業」を含んでいるというイメージです。
少々例えに語弊があるかもしれませんが、条文の本来意味するところをしっかり理解することで、無駄やミスを防ぐことができるのです。

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