法84条の2には、簡易な構造の建築物の制限緩和について規定されています。
この条文が直接防火規定に含まれるというものでもないのですが、法84条の2の規定によって緩和されるのが防火規定についての内容なので、あえてここでは、防火避難規定の範疇として扱うことにします。
まずは条文から。
第百三十六条の九
法第八十四条の二 の規定により政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分は、次に掲げるもの(建築物の部分にあつては、準耐火構造の壁(これらの壁を貫通する給水管、配電管その他の管の部分及びその周囲の部分の構造が国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る。)又は第百二十六条の二第二項に規定する防火設備で区画された部分に限る。)とする。
一 壁を有しない建築物その他の国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)であつて、次のイからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が一で床面積が三千平方メートル以内であるもの(次条において「開放的簡易建築物」という。)
第百三十六条の十
法第八十四条の二 の規定により政令で定める基準は、次に掲げるものとする。
一 主要構造部である柱及びはりが次に掲げる基準に適合していること。
三 前条第一号イに該当する開放的簡易建築物にあつては、前二号の規定にかかわらず、次に掲げる基準に適合していること。ただし、防火地域、準防火地域及び法第二十二条第一項 の市街地の区域以外の区域内にあるもので床面積が百五十平方メートル未満のものにあつては、この限りでない。
あまり出番の無い条文かもしれませんが、知っておくと意外と役に立つこともあるかもしれません。
準防火地域内での事務所などで、別棟で社用車をしまっておく車庫を併設するような場合。
車庫の出入り口が延焼ラインにかかるようだと、防火設備の設置が必要になりますが、この法84条の2の規定をうまく活用することで、防火設備を設置しなくてもいいようになります。
ただし、令136条の10第三号ロがポイントで、隣地境界線から1m以下の部分には告示で定める「防火塀」なるものを設置しなくてはなりませんので、配置や使い勝手などの諸々を鑑みて、法84条の2にもっていくか、素直に防火設備を設置するかを決めることになります。
正直、マイナーな規定ですが、頭の片隅においておくといざというとき役に立ちます。