考査Bは絶対的に「時間」に支配されている
建築基準適合判定資格者検定の午後の試験、考査Bは、時間との闘いです。
与えられた解答時間内に解くこともさることながら、本番までにどれだけ勉強「時間」が確保できたかが、合否を左右します。
しかし、やればやっただけ点数が取れる試験でもあります。
勉強だと思わずに、スポーツか筋トレだと思えば良いかもしれません。
しかも、プロスポーツ選手やオリンピック選手のレベルを目指す必要は全くないわけで、そう思えば多少気が楽です。
勉強する「時間」をどれだけ確保できるか
これは考査Aにも言えることですし、よっぽど天才的記憶力でもない限り、繰り返し問題を解かなければならず、それだけ時間が必要です。
半年間頑張ればいいのです。
その間は、
テレビのスイッチ、リモコンに触らない
携帯、スマホは近くに置かない
(タイマーの利用はキッチンタイマーや目覚まし時計などを利用する)
趣味は半年間お休みにする
家族サービスが減ることを予め説明し、家族に理解してもらう
お酒を飲まない
といった、我慢が強いられます。
人によって程度は違ってきますが、何かを犠牲にして時間をかき集めてこなければ、働きながらで合格率25%の試験には合格できません。
問題が難しいのではなく、勉強する時間を集めることが出来なかったから、失敗してしまうのです。
逆に、しっかり勉強時間が確保できさえすれば、合格はどんどん近づいてきます。
問題をいかに確実に「時間」内に解くか
考査Bは試験時間が3時間25分あります。(平成25年時点)
日常の勉強では時間配分の目安は
木造 40分
RC 100分(1時間40分)
構造 50分
としておきましょう。
これだと合計3時間10分で15分余ります。
普段から多少負荷をかけて訓練しておかないと、本番でちょっと問題をひねられた時、時間はあっという間に過ぎていきます。
万が一そうなっても良いように、解ける問題は素早く確実に答案を書ききれるような訓練が必要なのです。
もちろん、見直しのための時間も無いよりはある方が良いに決まっています。
「ドラゴンボール」で、孫悟空がナメック星に行くまでの間、地球の何十倍もの重力下で修行を積んでいましたが、まさにあのイメージで、勉強という名の修行をこなしていけば必ず合格できます。
木造は満点を狙うしかない
木造は問題を繰り返し解くことで、満点が取れます。
逆に言うと、ここで取りこぼすと後がとても苦しくなります。
ポイントとしては
2項道路の記述をもれなく記載する
建ぺい率の算定で、2項道路のセットバックについて記載しますが、道路斜線の検討でも同様に2項道路によりセットバック位置が決まることを記載しなければなりません。
小学生に教えるかのように、関連する規定について同じことを何度も答案に書きましょう。
記述を省けば減点されるかもしれませんが、多すぎても誤りでなければ減点されないはずです。
庇、建築面積、斜線制限を慌てず確実にクリアする
庇が建築面積に算定されるかどうか、斜線のセットバックがあるかないか、問題に道路からの後退寸法をしっかり書き込んで慌てず解答します。
配置図だけでなく、立面図にも寸法を書き入れて、見落としや勘違いを撲滅しましょう。
車庫や店舗がある場合に関係する法規をしっかり押さえる
用途制限の設問は木造でも出題されます。
低層系の用途地域での建築の可否や、換気計算の設問でうっかり見落とさないようにしましょう。
軸組の長さは必ず2回は数える。張り間、桁行きを逆にしないこと
軸組計算はサービス問題とも言えます。
これを落とすのはもったいない。
軸組は2回数える。
張り間、桁行きは図面をしっかり見て、思い込みで決めない。
過去問の通りの向きで出題されるとは限りませんが、東西か南北の2つに1つです。
これを押さえれば、まず大丈夫です。
界壁の仕様やホルム建材の計算も勉強しておく
平成25年度は初めて長屋の出題がありました。
と同時に、界壁に関する設問の過去問では見たことがありませんでした。
法令集をよく読めば確実に解答できますので、慌てずしっかりと解答しましょう。
RCは手首がつりそうになるほど問題を解く
RCも気持ちは満点を狙いますが、場合によっては1,2問は捨てることもあり得ます。
そして、RCの出来不出来は合否に直結します。
一番勉強時間を取られるカテゴリーかもしれません。
用途制限、建ぺい率、容積率は確実に得点できる
私は用途制限でよく間違えていたので、用途制限専用問題集を作って特訓しました。
スポーツでも勉強でも仕事でもなんでもそうですが、熟練度のとある「閾値」に達した時、今まで大変だったことがフッと楽になる瞬間があります。
何回も何回も手を真っ黒にしながら答案を書いていれば、ある瞬間から答案作成に余裕が生まれます。
そうなればしめたもので、斜線制限などの問題に時間を割くことが出来ます。
スポーツというより、自転車に乗れるようになる感覚に近いような気がします。
一級建築士の製図の試験のしんどさに比べれば、楽なものです。
斜線制限は施行令を正しく読めるかどうかにかかっている
各斜線制限は、様々な条件に基づいた緩和があります。
それらをいかに短時間のうちに読み取り、該当する条文を決定できるかで、斜線制限の解答は決まります。
記述量も多く、適用条文も多いため、見落としがあるたびに減点となるはずです。
最初のうちは、それこそ写経のごとく、過去問の答案を書き写して答案の書き方から覚えていくことになります。
日頃は建築確認の参考図書で斜線の緩和規定を見てしまいますが、試験の際は法令集しか見ることが出来ません。
適用される条文の意味を、条文を読んだだけでわからなければなりませんから、法令集の徹底的な読み込みも必要になってきます。
斜線制限の出来次第で、合格が決まると言ってもいいくらいです。
防火避難規定の問題は解くコツがある
防火避難規定は、これまでの過去問によると、あまり意地悪な設問はありません。
ただ、慌てているとポロポロと見落としてしまうような設問とも言えます。
防火区画、避難規定、内装制限は、日頃の業務では、斜線制限と同様に参考図書に頼りがちです。
法令集を確実に引ける訓練と、適用条文をもれなく列挙できる訓練が必須となります。
設備について幅広く法令集を読んでおく
小論文の試験が無くなってから、考査Bでは建築設備に関する設問が追加されました。
まだ前例が少ないため、今後どのような問題が出題されるか、未知の部分が多いカテゴリーです。
設備の設問は、これまでの出題では間違い探しレベルの問題でした。
これがそのまま続くか、もっとひねりが加えられるかは誰にもわかりません。
非常用照明や排煙設備だけでなく、昇降機や避雷針なども建築設備です。
条文を覚える必要はありませんので、法令集のどこに記載があるかは押さえておきましょう。
構造も結局は法令集に答えがある
平成23年までは素直な設問が多かった構造の問題も、平成24年、25年と多少ひねりが加えられるようになってきました。
構造にあまり関心のない人だと、なかなかとっつきにくい分野となっています。
ここはひとつ、試験と割り切って乗り切っていくしかありません。
基本的には、構造適判が必要かどうかを判定するものですから、法20条から、施行令、告示へとつながる構造規定の読み込みが必須となります。
とくに告示の部分に様々な検討式が規定されていて、それに基づいた計算が求められます。
丸暗記では刃が立ちませんので、少しずつ理解し、告示を何回も読むしかありません。
職場に構造に詳しい人がいれば、容赦なく質問してしまうのも有効です。
総合的対策
大学ノートに問題を解く
紙は何でもいいのですが、大学ノート1ページの右側4センチ位に線を引いて、考査Bの答案用紙を簡易的に再現するといいでしょう。
ひたすら問題を解き続けると、1冊また1冊と答案が書かれまくったノートが溜まっていき、「これだけやったんだ」と自分を励ます材料になります。
解答時は必ず時間を計る
最初のうちは、目標時間内に解答しきれることは少ないはずです。
どれほど試験時間が限られているかを実感できます。
また慣れてくると、木造、RC、構造と、それぞれの持ち時間ずつ細切れで解答しているときは、意外と時間内に終わります。
ところが、考査Bを通しで解いてみる、もしくは木造+RCやRC+構造で通しで解答してみると、時間がギリギリだったり足りなくなったりします。
7月になったら分野ごとに解答する練習はやめにして、なるべく2分野以上通しで解答する訓練が必要です。
そのためにも、勉強時間の確保が最優先事項となってくるわけです。
法令集への書き込み方のコツ
これは私のやり方なので、オススメするわけではありませんが、なんらかのヒントになればと思いお伝えします。
やることは簡単で、答案に記載すべき「該当する条文」になるであろう条文に青鉛筆で四角を書いておく、というただそれだけのことです。
答案には、明らかに該当する条文だけなく、やんわりと関連のある条文ももれなく記載しておくべきですし、法令集を行ったり来たりしているうちに、「これも書いておこう」という目印になります。
しかも、文字や注釈ではないので、不正な書き込みには当たりません。
実際、試験上での法令集チェックでも特にお咎めはありませんでした。
自分だけにわかるマークを付けておくのは、我ながら名案でした。
考査Bは長丁場なので、多少の体力も必要です。
自身を持って試験に臨めるよう、準備を万端にしておきましょう。
建築基準適合判定資格者の手引き〈平成27年度版〉 (建築基準適合判定資格者の手引き) | ||||
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