シティサイクルもしくは軽快車と呼ばれる一般的な自転車、すなわち「ママチャリ」のボトムブラケットをメンテナンスしようと思いいろいろと調べていたら、右ワン(6本爪タイプ)を外せるかどうかが最大の山場であり、難関であり、鬼門であるということが何となくわかってきました。
そこで、ネットやYouTubeでの情報を総合して咀嚼した結果、非常にスムーズに右ワンを外すことができたのでその顛末を記録しておきたいと思います。
(正確な用語が用いられていない場合、適宜読み替えてください。)
ママチャリのボトムブラケットをカートリッジ化すべく、右ワン外しに挑む
まず結論から。オレはこうやって外した
私がチョイス(ちょっとした発見??)したのは、長ネジナット2個方式です。
ネットで調べると
・専用工具で外す → 何回も使わないのにコストがかなり高い
・タガネやマイナスドライバーで打撃を加える → 危険が伴い、取れなかった時もダメージが残りそう
・ボルトナット座金方式 → ダメージが少なそうだが無駄が多い感じ
・ボルトとナット2個方式 → 一番シンプルだがもっと何とかなりそう
と、上記の4タイプがありましたが、なるべくコストをかけたくなかったのと多少建築関係の知識があったので、ボルトの摩擦力に着目しました。
つまり、ボルトナット座金方式とボルトとナット2個方式を良いとこどりすれば、もっとシンプルに安全に外せると考えたわけです。
で、6本爪タイプの右ワンにぴったりはまるというM16という大きさのボルトやナットを近所のホームセンター(建築資材に力を入れているお店も含む)数店に問い合わせたところ、なんとどこにも置いていない。
こんなことで地方在住の不利益を被ることになるとは。
ネット通販でももちろん買えますが、ボルトやナットはいくつかセットだったり、送料が高くついたりして専用工具ほどでないにしろ結構なコストがかかることがわかったのです。
半ばあきらめかけていたそのとき、視界の片隅に一輪車(いわゆるネコ)が映り、「お!」と思いました。
一輪車の車輪を保持しているボルトとナットがもしやM16サイズなのではとすかさず分解してみたところ、
なんとピッタリ!!
M16サイズだったんです。このとき、神っているんだなと思いましたね。
で、ボルト(長ネジ)とナット2個を使って下の写真のようにBB内で組付けます。右ワンに装着するナットは厚みがあるのが望ましいですね。モンキーレンチがしっかりと掛かります。
まず、長ネジにナット一つを適当な場所にはめてBB内部を通り右ワン側から出します。
次に右ワン側からナットをはめて、右ワンをナット2個で挟むようにします。
右ワンの爪にボルトがしっかりハマるようにしてあげてから、長ネジを回してやるとBB内部のナットが右ワン側にグイグイ締まってきてびっちり固定される感じがわかります。
そこで、モンキーレンチの出番ですよ。
右ワンは逆ネジですから、ナットを締める方向に回します。つまり、BB内部のナットと右ワン側のナットとの間に強力な摩擦力が生まれ、ナットもろとも右ワンが廻るという仕組みですね。
ネットでよく見かけるBBの反対側に座金を挟む方式は、この方法を非常に回りくどく、面倒な方法でやっているだけなんですね。右ワン側を廻して、座金側のナットをゆるめてというのは非常に無駄が多いです。
ボルトとナット2個方式では、右ワンにナットがしっかり食い込まない恐れがあり、やっぱり私の「長ネジナット2個方式」が一番扱いやすいと思いました。
ちなみに下準備として、右ワンを外す前日にシリコンスプレーを内側と外側から吹いておき、15年分の固着が少しでもほぐれるようにしておきました。
エーゼットのロードバイク用のスプレーは浸透力が高いので、とても効果がありました。
結果としては、モンキーレンチをハンマーで叩くこともなく、人力であっけなく右ワンは廻ってくれました。
しかも、ナットが右ワンに食い込んで取れなくなったという話も見ましたが、そんなこともなく右ワンはいつの日か再利用することも可能です。(しないけど)
ありがとう、一輪車。ありがとう、建築士の試験で勉強した高力ボルトの知識。
一輪車のタイヤ(ホイール)はご褒美にしっかりとグリスアップされて、元通りとなりましたとさ。
右ワンを外すことになったきっかけ
そもそものきっかけは単純で、15年乗っているベガスのボトムブラケットが、ゴリゴリするようになってしったからです。
ここ数年、だましだまし乗っていましたが、さすがに不快感が強まってきて、自転車を買い替えようかとも思ったりしました。
実はカートリッジ化するまえに、コッタレスクランクとリテーナー(ベアリング)を買って交換したものの玉当たり調整がうまくできず、ペダリングの感覚が悪化してしまったのです。
そして、この時は右ワンは外す必要はなく済んだわけです。
しかしこのままでは結局元の木阿弥、毎日の通勤が苦痛すぎるので、思い切ってボトムブラケットをカートリッジ化することにしました。
買ったのはシマノのこちら。BB廻しも一緒に買いました。
このBB、アマゾンでは2種類売っているので、買うときはボルトが付属しているものを選ぶのが無難です。
カップアンドコーンの時はナットでクランクを固定していますが、カートリッジ化するとボルトで固定することになります。
BBのカートリッジ化は非常に簡単
右ワン側はグリスを塗って装着。BB工具で締めます。力の限り締めていいんじゃないでしょうか。
私が買ったカートリッジは、クランク側(左側)は樹脂製のキャップです。よって、装着時にグリスは塗りません。
本来は所定のトルクで締めるべきですが、トルクレンチは持っていないため破壊しない程度に締め付けます。
写真ではチェーンケース固定金具をつけ忘れていたので、再度脱着しました。
結果としては、こんなに静かで快適なペダリングができるようになるなら、もっと早く、知っていればそれこそ自転車購入時に交換していたと思います。
それくらい快適、快調、素晴らしいエクスペリエンスが得られます!!
ついでに内装3段変速機の中もグリスアップする
基本メンテナンス不要といわれている内装変速機も、15年も経てばこのありさまです。
雨でも雪でも自転車で通勤していたので、仕方ない部分もあります。普段は屋根のある場所で駐輪していても、です。
かなり大変でしたがしっかりクリーニングして、シマノの内装変速機専用のグリスでグリスアップ、あとは元通り戻します。
文章で書くと非常に簡単そうですが、ブレーキや変速機のワイヤーなど外す部品は多岐にわたり、元に戻すのも結構大変です。
が、やっぱり自分でメンテナンスすると安く上がるし、愛着も湧くため簡単に買い替えようという気にはなりませんからとても気分が良いですね。
フリーが廻る音なんて、ちょっと高級なロードバイクくらい静かになりました。
ペダルと変速機の両方を一気にメンテナンスしたので、かなりサイレントで快適な乗り心地となりました。
ちなみに、内装変速機やホイールのメンテナンスをするならハブコーンレンチという、薄いレンチがあるととっても捗ります。
最後にクランクキャップを自作
最後に、クランクボルトの装着部分を水や汚れから守るクランクキャップを自作しました。
材料や道具のことを考えると買ったほうが圧倒的に安いのですが、買うにしてもこのプラスチックのフタが数百円するというのが解せなくて、ちょうど手元にある道具や材料を使えば作れそうだなということで作ったというわけです。
作り方は簡単で、型取くんにもともとのクランクキャップをしっかりと隙間なく押し付けて型を取ります。
そこにレジンを流し込んで、紫外線ライトで固めれば完成、というわけです。
レジンは3Dプリンター用のものを使いました。100円ショップで売っている工作用のレジンでもいいんじゃないでしょうか。紫外線ライトが無ければ、太陽光にしばらく当てておけば固まります。
そんなわけで、いつなくなっても惜しくなく、すぐに作り直せるクランクキャップの出来上がりです。
思った以上にしっかりとハマり、通常通り自転車は使用していますが脱落することなく、役割を果たしてくれています。