「人生を賭けて「家」を買った人の末路」を読んだ

maturo01

「人生を賭けて「家」を買った人の末路」という、なかなかに一般消費者を煽ったタイトルの本を読んだので、気になった部分を抜粋して所感を記載します。

本全体の様子は、「夢とか理想とか甘ったるいこといってないで、日本はそもそも資本主義経済で成り立っていることを肝に銘ぜよ」ということかと思います。

表紙にあるような、「破綻した人」のエピソード、「完済した人」のエピソードがドキュメンタリー風にまとめられているようなものではなく、あくまで「中の人」がこれから住宅を建てようという人をいっちょビビらせてやるかという感じですね。

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目次の様子

目次を眺めると、おおよその中身はわかるかと思います。

気になった部分とその所感

営業マンにとって住宅とは所詮毎月の売り物でしかない

営業マンの口説き文句に「一生に一度の買い物」「人生で最大の買い物」なんてのがありますが、営業マンにとっては「毎月の食い扶持」ということです。
これは致し方ないですね、営業マンもボランティアじゃないですから。
でも売れている上手な営業マンは、稼いでいる感をうまこと隠してお客さんに接するんですよね。
契約したら、上手に設計、インテリアコーディネーター、現場監督、アフターサービスといった各担当に上手にお客さんを受け渡して、付かず離れずお客さんを転がす、そんな営業マンが結局「イイ営業マン」だったりします。

「住宅メーカーの坪単価の違いは建物にあらず!人(人件費)である!」

これも事実であり、真実ですね。
しかも、人件費だけでなく広告宣伝費もかなり建物コストに反映されています。
加えて、大きなメーカーであるほど、良い場所に事務所を構えていますから、そういった経費を回収するには同じものを売ったとして利益が多くなければやっていけません。
ローコストメーカーで、大手住宅メーカーのような対応を求めるのはそもそも間違っているということになります。

契約したら次のお客様を見つけないことには、その営業マンも生き残ることはできない

二つ上でも書きましたけど、売れない営業マンほどすべての打ち合わせに最初から最後まで同席していたりします。
そうじゃなくて、各パートごとにその専門担当にうまくバトンタッチできるのができる営業マンだと思います。
つまり、社内での人間関係、信頼関係も上手に築けている営業マンは、お客さんとも同じように信頼関係を築くことができるとも言えそうです。その結果、売れる、というわけです。

一生に一度の買い物→妥協できない→金を惜しまない、という思考パターン

これは施主側の思考パターンですが、若い人ほど新築後の生活がイメージできなかったりします。
ローンを多少多めに借りても払えるだろう、という安易な人もやはり若い人に多いですね。
親や信頼できる上司などから、住宅ローンを抱えたあとの暮らしで何が大変だったか、失敗したことはないかを見聞きしておく必要はあると思います。
暮らしてみると、内部外部とわず手を入れたくなることもでてきますし、高額な家電が突然ダメになったり、車がダメになったり、お金がかかる事案がどんどん発生します。
とにかく想像力を働かせておくことと、よっぽどの富豪でもない限りほどほどにしておくのがうまくいく秘訣のような気がします。

見積書の「本体」の内訳は教えてくれない。なぜならメーカーの社員ですらわからない

この意見はあまり賛同できません。
なぜなら私が携わったことのある住宅メーカーの見積書は、かなり詳細にわたって明細が開示されていたからです。
誰でも知っている大手メーカーです。
外壁面積、建具の個数、基礎の長さ、コンセントの数まで、お客さん用の見積もりの明細から読み取れます。
ただ、どうしても「諸経費」なる謎の項目は要所要所に登場し、最終的な項目で「経費までを合算した金額に、さらに経費がかかる」というぼったくりのような明細ではありましたが、まだまだ良心的な記載方法のような気がしました。
確かにメーカーによっては、「坪あたり〇〇万円」としか記載しないところもありますが、逆にそのほうが余計なことを考えなくていいので幸せになれる場合もあります。
メーカー側の姿勢と施主の姿勢がうまく合いさえすれば、多少名の知れたメーカーであればほとんどの場合うまいこと事が運ぶのではないでしょうか。

契約前に標準仕様を教えてくれる住宅メーカーは少ない

そんなメーカー今どきあるのかな、と思いました。
いくら出来上がるまでわからないとはいえ、設備や仕上げがどんなものかも知らずに契約するおバカさんなんていないような気がします。
それこそ、トラブルの火種を抱えたまま契約するようなものですからね。
最初に上手に標準仕様は説明しておくのは、当たり前のような気がします。

まとめ 「末路がなんだったのか、よくわからない」

本のタイトルが、今どきのネットニュースの見出しのような、人の興味を引くものであるばっかりにどんな壮絶な人生を疑似体験できるのかと思いきや、業者サイドからしてみれば「そんなもん当然だ」という内容ばかりですし、施主側からしても「なんか中途半端な業界裏話だな」という印象でした。
まだまだ若くて人生経験のない人が、家を建てる前に読んでおけば多少は役に立つかな、という程度でそれほど深刻に受け止めるようなものはなさそうです。
界壁の未施工とか、未曽有の巨額詐欺とか、耐震偽装で建て替えたとか、ローン滞納で一家離散かつホームレスになったとか、結局みんな人の不幸とかブラックな内情が知りたいんじゃないでしょうかね。

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