レトロゲームファンの皆さま、そうでもない皆さま、ご機嫌いかがでしょうか。
レトロゲームの改造や工作に興味のある方はネットで聞いたことや見たことがある方もいらっしゃるかもしれない、あの「ゲームボーイゼロ」をやっとこさ完成させることが出来たので恭しくブログで報告したいと思います。
最初にいっておきますが、ゲームボーイゼロで遊べるゲームはせいぜいゲームボーイアドバンス程度までで、現行の3DSとかPSVITAとか、ましてやニンテンドースイッチなんて比べるまでもない非力なマシンです。
しかし、仕組みを理解し、組み立てて、最終的にはゲームまで出来てしまうというこのプロジェクト、なかなかに大変ですが、達成感はものすごいです。
私なりにわかったことや苦労したことなども含め、ゲームボーイゼロとは何なのかご紹介します。
まずはゲームボーイゼロの概略を動画でどうぞ
まずは、ゲームボーイゼロの様子を動画で見ていただくと、大体の様子がわかると思います。
ちなみにYou Tubeで「GBZ」とか「gameboyzero」と検索すると、外国人の動画が結構たくさんヒットしますが、日本の方の動画は見つけられなかったので、多少は役に立つかもしれないなんて思ったりしました。
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ゲームボーイゼロとは一体何なのか
ゲームボーイゼロというは、カンタンに言いますと
「ラズベリーパイゼロというフリスクのケースに入るほどのコンピューターを使って、エミュレータを走らせてゲームを遊べるようにした、手作りおもちゃ」
です。
2,3年前くらいからすでにありまして、欧米ではたくさんの人達が作って楽しんでいます。ebayなんかでは、たまに販売されてたりします。
しかし、出来上がったものを買うのは大変つまらなく、寂しいです。
これは、自分で苦労して作ってこそ輝くシロモノだと思います。
部品集めから、OSやエミュレータの設定、ロムの吸い出し、回路検討、組み立てなどなどやるべきことは山ほどあり、なんだかんだで1ヶ月はかかりました。
この手の工作に詳しい人なら、もっと短期間で作れるとは思いますが、早く完成させたいけど制作過程をもっと楽しみたいというジレンマと闘うことのおもしろさったら他に代えがたいものがあります。
完成品はロースペックのゲーム機ですが、完成までの工程こそが最高の楽しみ、それがゲームボーイゼロです。
ゲームボーイゼロの仕組み
ゲームボーイゼロの仕組みは箇条書きで書くとわかりやすいです。
・外装やボタンは基本的にゲームボーイのものを利用
・メインの心臓部はラズベリーパイゼロという小型PCを利用する
・ゲーム自体はエミュレータを利用する
・ゲームソフトのデータを実ソフトから吸い出す必要がある
・自動車用のオンダッシュモニターをモニターとして利用する
・電源、コントローラー、スピーカーなどもすべて自分で組み合わせて作る
・好きなように部品を組み合わせることができ、スペックを変更できる
といったところです。
最低限の構成さえあれば、あとは自分の望む方向に向かって部品調達や加工をしていけば良いわけです。
上記の中で重要なポイントは、ゲーム自体はエミュレータでその点は何も問題はありませんが、ソフトウェアに当たるゲームのロムデータは所有するソフトから吸い出したデータを利用しなければなりません。
つまり、ソフトのデータを吸い出すツールや技術も必要になってきます。この点は法に触れる部分でもありますので、厳密に取り扱う必要があります。
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ゲームボーイゼロを作るのに必要な部品
ゲームボーイゼロ作成にあたり、必要になる部品などを列記したいと思います。
可能な限り、入手方法についても記載し、製作を試みたい方の参考になるようにしたいと思います。
ちなみに、製作用の工具なんかも含めると1万円は軽く超えると思います。
でも、それ以上の価値が絶対にあると思いますので、ケチらず部品に投資して下さい。
・ゲームボーイの外装
これは中古のゲームボーイを利用しても良いですし、アリエクスプレスなどで外装シェルだけ購入しても良いと思います。
XYボタンのためのボタンやシリコンゴムも必要になるので、合わせてアリエクスプレスで買うと良いと思います。
シェルが1000円程度、ボタンやゴムは100円かそこらです。
・ラズベリーパイゼロ
Amazonでも買えますが、値段が法外です。日本でも正規取り扱いが始まったので、送料がちょっと高いですがそれでもAmazonで買うより安いです。
標準価格は1枚700円くらいです。
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・コントローラー基盤
コントローラー基盤は、ebayで売ってます。1000円くらいです。アメリカからちゃんと届きます。
ユニバーサル基板を使って自作も可能ですが、買ったほうが操作感も良く、手間が格段に減ります。
最初は買ったほうが良いと思います。
・USB接続用コントローラー基盤
上のコントローラーをUSBで接続できるようにする基盤です。Amazonでも売っていますし、アリエクスプレスでも売ってます。
もともとはゲーム用ジョイスティックを自作するための部品です。
1500円程度です。
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・オンダッシュモニター
5Vの電源で動作するオンダッシュモニターは、1種類しか知りません。
以下のオンダッシュモニターは私が使っているものと同じなので、まず問題なく製作に利用できます。
1800円程度です。
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・スピーカー、アンプ
スピーカーはゲームボーイのものをそのまま利用できます。ゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSのジャンク品から取っても良いでしょう。アリエクスプレスでも買えます。
アンプもアリエクスプレスで買えます。Amazonでも買えます。
アンプもスピーカーも100円もしません。
・USBハブ
これはなんでも良いですが、ゲームボーイのガワに納めるためには小さいもののほうが良いです。
USB3.0より、2.0のようなロースペックのほうが分解や加工がしやすいです。
ハードオフなんかのジャンクのハブで十分です。
新品を買えば1000円くらい、ジャンクなら108円です。
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・各種スイッチや各種端子、配線
組み合わせに応じて揃えます。全部Amazonかアリエクスプレスで買えます。
マルツや秋月電子を利用しても良いでしょう。
以下のパーツ類は参考で、すべてを網羅していませんのでご注意下さい。
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・その他ラズベリーパイゼロの設定に必要なもの
USBハブやキーボード、無線LANWi-Fiドングルなどが必要になります。
当然、PCが無いとネットで調べることもままなりません。
また、USB接続できるゲーム用コントローラーも必要です。
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ゲームボーイゼロ作成で重要となるポイント
エミュレータをどれにするかでちょっと悩んだ
私が採用したエミュレータOSはレトロパイです。(上の写真は確かrecalboxとかいうやつです。)
ラズベリーパイゼロへのエミュレータの導入や初期設定については、解説サイトがたくさんあるので省略します。
エミュレータは他にもたくさんあって、どれでも目的は達成できると思いますが、PCとのリモート接続やユーザーインターフェースのわかりやすさからレトロパイが一番良いと感じました。
リナックスの知識も皆無なため、コマンドなども一から勉強しつつでしたが、ここまで作れたのでPCなどに詳しい方ならサクサクと製作は捗ると思います。
それと、私はゲームボーイゼロを作ることが目的で、そのあとのゲームはあまり遊ぶ気がないので、エミュレータの性能や走るソフトの多さは魅力を感じませんでした。
一番大変だったのは「音声出力」
私が一番苦労したのは、ラズベリーパイゼロのGPIO端子から音声を出力させる設定でした。
HDMI接続だったら何も考えずにモニターやスピーカーから勝手に音が出るのですが、GPIOからの音声出力の手こずったこと、手こずったこと。
You Tubeで簡単そうに設定している動画を何度見直して、解説サイトを何度見ても、そして試してもダメで、音が出なくても良いかと諦めるところでしたが、救世主的解説を発見し、なんとか音が出るようになりました。
例えば以下のサイト
Raspberry Pi Zero 単体で Audio再生方法
これなんか、簡単な設定でできるようなことが書いてありますが、電源を切ると設定が消えてしまうんですよ。
だから、毎回設定しなくてはならず、事実上使い物にならないわけです。
で、私が発見したサイトがこちら。
Pi Zero PWM Audio
英語のサイトなので、解読するのに根性が必要ですが、この方法なら再起動後も設定がリセットされずに残り、無事GPIO接続のスピーカーから音が出ます。
特に、ページの2/3ほどに「Automate it!」という見出しがあり、この設定をしておくと自動的に起動のたびに設定されるという仕組みです。
本当に苦労しましたが、音が出たときの達成感は格別です。小躍りすること間違いなしです!!
それと、必要かどうか定かではないのですが、ローパスフィルタを間にかませると良いらしいということで、アンプの手前にそのフィルターがあります。
上の写真の茶色い基盤がローパスフィルタで、緑の基盤がアンプです。
抵抗とコンデンサーだけの簡単な仕組みですからお金もかかりませんので、作ってみると良いと思います。なんとなく、音質が良いような気がします。
モニターは5Vで動くものとなると、機種が限定される
ゲームボーイのガワに収まるサイズのモニターならなんでも良いかというと、そうでもないともいえますし、それでいいとも言えます。
何が言いたいかというと、電源がラズベリーパイから取る場合、5Vになってしまうということです。
自動車用のオンダッシュモニターの転用なので、そのままだと12Vで動作しますから、単純に考えると昇圧しなくてはなりません。
しかし、昇圧回路を組み込むと内部がさらにごちゃごちゃするのと、特定の機種の場合電源系のICを剥がして直結することで5Vで動くことがわかりました。
ですので、私が紹介しているオンダッシュモニターは、5Vのままで動くわけです。上の写真を参考にして、その部分のICを剥がし、写真のとおりに電源を繋ぐだけでOKです。
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コントローラーの設定・加工も結構大変
コントローラーもユニバーサル基板とGPIOの設定で、カンタンに済ませる予定でしたが、音声同様にコントローラーのGPIO設定も困難を極めました。
ゲームボーイゼロの製作ではないものの、日本の方のサイトでラズベリーパイにGPIO設定でコントローラーを直結している凄腕の方たちがいます。
私もその真似をしてみたものの、中途半端にしかコントローラーが動かず断念し、自作ジョイスティック用の基盤を利用することにしました。
本来は必要ないのですが、これが結構大きいので内部空間を圧迫します。配線をなるべく短くするなど、わりと苦労しました。
逆に、最初からこの基盤を利用するのを前提で制作するなら、コントローラーで苦労することは殆ど無いと思います。
英語のサイトでは、teensyというラズベリーパイ開発用のシステム基盤がありこれをコントローラー接続の中継役として利用しているケースが見られましたが、小さいくせに微妙に高価なので上記のUSB基盤にしました。
予算があるなら、teensyにした方が内部のスペースを節約できると思います。ただし、teensyの設定も難しそうな雰囲気でしたが。
また、設定もさることながら、XYボタン用の穴あけも慎重に行う必要があり、ドリルやテーパーリーマなど道具も必要になります。
また、XYボタンの位置を保持するための輪っかも自作しなくてはなりません。ネットで探せば売ってます(アメリカから取り寄せですが、送料込みで500円くらいだったと思います。)
私は型取りくんとダイソーのレジンで手作りしました。問題なく使えます。そんなに手間はかからないので、これは自作でも良いかもしれません。
組み立て後のコントローラーの設定に、Amazon等で購入できる普通のPC用ゲームコントローラーが一つ必要になるので、準備しておくと良いでしょう。
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バッテリーを内蔵するのは諦めた
これは上記のコントローラーにも起因しますが、内部のスペースがなくなってしまったことと、バッテリー関係は扱いが結構難しいということで、外部からモバイルバッテリーで電源を取ることにしました。
最初はモバイルバッテリーを分解して、その制御基板と内部の電池を利用する予定だったのですが、なかなか安定して動作してくれず、モバイルバッテリーを2個ダメにしました。
また、製作中にバッテリーから火花が出たり、やけどしそうになったりとリチウムイオン電池の扱いが怖くなったので怖気づいた、というのも理由の一つです。
軽くて容量もそこそこあるモバイルバッテリーが安く手に入るので、無理に内蔵しないことにしました。
ポータブルゲーム機なので、本来ならば電池内蔵にすべきだと思いますので、腕に覚えのある方はチャレンジしてみると良いと思います。
私は作ることが楽しいのであって、ゲームはほとんどしませんから、どっちでも良かったというのが本音ではあります。
日本語だけでなく、英語のサイトもしぶとく研究すべし
細かな配線やイヤホン端子、スピーカー端子の接続、ボリュームとアンプの接続など、他にも調べないとわからないことはたくさんあります。
USB端子のアサインを調べたり、そもそもラズベリーパイゼロのそれぞれの端子の意味も理解しなければなりません。
私が実際にやった方法は、ずばり、調べたサイトを紙に印刷し、見ながら製作するという超アナログな方法です。
PCやタブレット、スマホの画面で見ながらというのは、一覧性が悪く効率が悪いです。こんな時こそ、紙メディアが一番ですね。
参照すべきサイトも、日本語4割、英語6割といったイメージで、英語のサイトに頼らざるを得ません。でも、やる気さえあれば、グーグル先生が翻訳してくれるので何とかなります。
ゲームボーイゼロが作れれば、何でもできる気にさえなれる!
だいぶカンタンに説明してきましたが、それでも結構な長さの記事になりました。
細かく根気のいる作業ですが、やはり完成させ、ゲームボーイのガワでありながらABXYボタンを持つミステリアスなゲームマシンを手にしたときの感動は筆舌に尽くしがたいものがあります。
冷静に考えると、工具を除いても材料費だけで1万円はかかり、1台目は作るのに数十時間を要すると思います。
私の場合、約1ヶ月、平日は帰宅後に数時間、土日はまるまるでとりかかりましたから、5,60時間はかかったんじゃないでしょうか。
1台目と同様の構成でなら、2台目は10時間もあれば作れると思います。もっと短時間でもできるかも。
もちろん、作業以外にもネットで調べるのにも手間暇かかります。
時給1000円でも、7万円はかかる計算です。これなら、GPD WINとかを買ったほうがよっぽど画面もきれいだしマシンの性能も段違いに高性能です。
でも、何度でも言いますが、完成させたときの感動と達成感は、既製品を買っただけでは絶対に味わえません。
電池を内蔵していなかったり、細かい仕上げがイマイチだったり、まったくもって完成度は高くはないものの、我が子のように愛おしく感じられ、たとえ10万で売って欲しいと言われても売らないと思います。
いや、10万なら、売ってもいいか・・・
とにかく、モノより思い出、この血の滲むような努力、まさにプライスレスというわけです。
レトロゲームが好きで、ハンダゴテがそれなりに扱えて、ネットで調べることができるなら、きっと完成させられると思います。
ぜひみなさんも挑戦してみることをオススメします。
きっと、いままで見えなかった景色が見えるはずです!!
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