自動車車庫と自動車修理工場との間には異種用途区画は必要なの??

読者のF様から以下のような質問をいただきました。

自動車車庫と自動車修理工場との間には異種用途区画は不要で良いか」というものです。

結論から申し上げると、「必要」と判断しました。

最初はご質問のとおり、「要らないかな」とも考えましたが、最終的には「必要」と判断しました。

(想定建物は規模、構造ともに所定の防火区画が必要なものとします)

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思案した経過:
例えば郊外の自動車ディーラーなどでは、大きな屋根(キャノピー)を設けた駐車場が国道などのメインストリート側に配置され、ショールーム、自動車修理工場が一つの建物に併設されているというケースを良く見かけます。

屋根下が駐車場であれば、屋根と柱しか無くても自動車車庫扱いであり、またそれに面する位置にショールームや自動車修理工場があれば、別表1の規模に該当する場合異種用途区画が必要となります。

ショールームと自動車車庫との間に異種用途区画が必要なのはイメージしやすいのですが、自動車車庫と自動車修理工場との間にも果たして異種用途区画が必要というと「似たような用途だし不要では」と最初は考えました。

ただ、細かな用途分類が存在する別表1(4)で考えると大型物販店の中の飲食店は、物販店とその他の部分(逆も同様)との異種用途区画が必要になるので、別表1の括りが同じでも異種用途区画が必要なのだから、車庫と自動車修理も同様で区画は必要なのではと考えました。

ただし、大型物販店の中の飲食店に対する異種用途区画の取り扱いとしては防火避難規定の解説にもあるように、

(1)主たる用途に供される部分と従属的部分の管理者が同一であること。
(2)主たる用途に供される部分と従属的部分の利用者が同一又は密接な関係であること。ただし、従属的部分は道路等から直接出入りする形態を有しないこと。
(3)主たる用途に供される部分と従属的部分の利用時間がほぼ同一であること。
(4)自動車車庫、倉庫等以外の用途であること。

という条件付きで、異種用途区画は不要とされています。

そしてここで、条件の(4)に自動車車庫が挙げられており、やはり自動車関連施設の火災荷重は高いということを再認識させられます。

そこで各地の取り扱い資料等を調べたところ、以下の資料が見つかりました。

建築基準法及び同大阪府条例 質疑応答集 
P45より抜粋

2.について…耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない用途に供する部分はその使われ方からみて利用者、利用人員、滞在時間、火災荷重等が各々異なるため、当該用途部分相互間及び当該用途部分とその他の用途部分とを防火区画することを義務付けたものである。従って、別表第1(い)欄(4)項の枠内でも用途が違えば区画は必要である。

自動車修理工場と自動車車庫は別表1(6)の枠内であるが、上記と同様に用途ごとに条件がことなるため、異種用途区画が不要とできる理由にはならないと解釈できる。

横浜市建築基準条例及び同解説
( 令和5 年5 月版) P114 条例49条2項の解説より抜粋

なお、自動車車庫と自動車修理工場が併設する場合は、自動車車庫と自動車修理工場との間で防火区画する必要があるため、注意が必要です。

それぞれ条例の解説ではあるものの、別表1(6)という同じ括りにあるからといって、異種用途区画が不要とできる理由にはならないと解釈できると判断しました。

まとめ

別表の括りが同じだからといって異種用途区画が不要な理由とはならないということになります。
個別の用途が異なる場合はそれぞれ令112条(法27)の要件を満たす場合は、異種用途区画を設ける必要があります。
どちらか悩んだら不利側に、と考えておくのが得策だと思います。
地域性もあると思いますので、最終的には申請先、特定行政庁にも確認してください。

このサイトは読者の皆様によって支えられています。
いつもありがとうございます。
F様もありがとうございました。

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