待機児童解消のために、採光規定が緩和されます(予定)

10月23日から11月21日まで、パブリックコメントを募集している案件に以下のようなものがあります。
(クリックすると国交省のサイトに飛びます)

照明設備の設置、有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置の基準等を定める件及び建築物の開口部で採光に有効な部分の面積の算定方法で別に定めるものを定める件の一部を改正する告示案に関する意見募集について

例によって初見殺しなタイトルですが、別紙資料にわかりやすく記載があります。

保育所等の円滑な整備等に向けた採光規定の合理化について

とあります。

つまり、昨今都市部で非常に問題となっている待機児童解消のために、既存建物の保育所への用途変更をしやすくするための規制緩和ということです。

詳細は国交省の資料が非常にわかりやすいので、抜粋して貼っておきます。

上記パブコメのページに、PDFがあるので印刷などしたい方は国交省のページを参照下さい。

saikou採光資料1

saikou採光資料2

saikou採光資料3

saikou採光資料4

要点をまとめると

①保育所の保育室等の採光の代替措置の合理化(S55告示第1800号)
一定の照度が確保できる照明設備を設置した場合には、床面からの高さ50㎝未満の部分の開口部の面積を有効採光面積に算入できるようになる。

正直、これが有効かは微妙な気がします。この告示を活用している案件を見たことがありません。
ただ、保育所は勉強机がないので、床面まで採光有効に含むことができる、という意味はわかります。

②採光補正係数の算定方法の選択制の導入(告示第303号)
特定行政庁が規則で指定する区域内では、当該規則で定める採光補正係数の算定方法を用いることができる。

これはまさに都市部の話ですね。
「建て詰まり度合い」という、私のような田舎者には耳慣れない記載があります。

採光補正係数を算定する上では、敷地の境界線を基準に算定するので、建物が隣地や道路に近いと自ずと補正係数は少なくなりますからね。

算定方法は「特定行政庁が指定」とあるので、地域ごとに算定方法を確認する必要が出てくるということになります。

これは勝手な推測ですが、特定行政庁が1から算定式を作るとは考えられないので、住居系でも商業系の算定を可能とする、というような形になるのかなと思います。

③複数居室の有効採光面積の計算方法の緩和(告示第303号)
一体的な利用に供される複数居室を全体としてとらえて計算することを可とする(※特定行政庁が認める複数居室に限る)

これは、現在ある2室1室の採光緩和規定をさらに推し進めて、一体的に利用できる室は2室を超えても1室とみなし、全体で採光の検討が可能となるというものですね。

こちらも条件として、特定行政庁が認めるものとあるので、地域によって多少の差異がある場合もあるかもしれません。

が、それぞれの特定行政庁が一つ一つ規定を作っている暇が無いような気もしますので、もしかしたら②と同じように既存での取扱いを流用したり、国交省がある程度のガイドラインを定めてそれに乗っかる特定行政庁がほとんど、ということになるかもしれないですね。

概要という資料を見てみると、早ければ今年の12月、遅くとも来年の1月には新告示が公布され、公布と同時に施行される見込みです。

リフォームやリノベーションなどを多く手がけていらっしゃる方にとっては、見過ごせない告示改正になると思います。

小規模保育のつくりかた: 待機児童の解消に向けて
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保育園問題 – 待機児童、保育士不足、建設反対運動 (中公新書 2429)
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幼稚園・保育所、児童館 (建築計画・設計シリーズ)
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