既存不適格建築物に対する規制合理化の流れ

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既存不適格建築物に対する規制合理化の概略

スクラップアンドビルドからストックの有効活用へ

平成24年9月20日に建築基準法施行令137条の2と平成17年告示第566号の改正案が施行されました。
これによって、いままでは既存不適格建築物の増築というと、なんとか「既存面積の1/2以下」になるように計画されていたものが、1/2を超える計画もグッとしやすくなりました。

つまり今までは、1/2超の案件は、構造緩和が受けられず増築後の建築物全体を現行法規に適合させる必要がありました。実現可能なものもあったとは思いますが、既存建築物が古いほど、資料がなかったり、構造計算をすればアウトになってしまうケースがほとんどだったようです。

しかし、今般の社会情勢からして、すでにスクラップアンドビルドは時代遅れですから、ストックの有効活用という面では、大変効果のある法改正であると思います。

では、ここ数年の既存不適格建築物にまつわる法改正についてざっと見てみましょう。

既存不適格建築物への条件付き構造遡及緩和

平成17年6月
既存不適格建築物に関する改正法が施行される
→この法改正で、原則として増築時は既存部分も現行法規に適合させなければならなかったのが、既存面積の1/2以下という条件のもとで、増築が可能になりました。

構造適合性判定制度の創設と、既存不適格建築物に対する構造適合性判定の適用について

平成19年6月
建築基準法の大改正
→平成17年に発覚した耐震偽装事件を受けて、この年から構造適合性判定制度が新設されました。
髪型も偽装していたA歯建築士はものすごいインパクトを残しました。

既存不適格建築物に対する耐震診断要件の緩和

平成21年9月
平成17年告示566号の改正
→1/2以下増築の際の既存部分の要件として、耐震診断が必要だったのが、新耐震基準に適合していることを証明できればよいことになった。
また、4号木造建築物については既存部分の構造計算が不要になりました。

既存不適格建築物の床面積の1/2を超える場合の増築に関する緩和規定

平成24年9月
現時点で最新の改正ですね。
上記のように、1/2超案件も増築しやすくなりました。

ざっと7年の間で、これだけの法改正がありました。もちろん、細かいものも含めればもっとたくさんあります。
最新の情報について、常にアンテナを張っていないと乗り遅れてしまいそうです。

ただ、プロとしてはそうも言っていられませんから、日々精進、といったところでしょうか。

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