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建築士の資格を活かすためのノウハウ本2冊
まずはよく知られた謎かけ。
「建築士の資格と掛けまして、足で踏んづけてしまった飯粒とときます」
「そのこころは」
『取ったはいいが、食えない』
うまい!座布団30万枚!!
ということで、建築士の資格は他の士業(弁護士、司法書士、土地家屋調査士など)に比べて食えないと言われて久しいです。
しかし、嘆いていても始まりません。
設計だけで食えなければ、頭をつかうか手を動かすかして、なんとかしなければなりません。
現状打開のきっかけになるかもしれない本を読んでみたのでご紹介します。
1冊目は「建築士の資格が活かせるお仕事ガイド」です。
帯(実際は印刷)にもあるように、建築士の資格を活かしてもっと稼いじゃいましょう、というのがコンセプトです。
2冊めは「ツテも人脈もなく始める 設計事務所の開き方」です。
設計事務所を経営していくには、ツテや人脈がないとすぐに食いっぱぐれるだろ、という前提をぶっ壊しにかかる勢いのタイトルです。
それぞれ、特徴をご紹介したいと思います。
せっかく取った建築士の資格、もっと活かしましょう
設計事務所のお金と実態をリアルに知る
本文を載せると著作権的にアレだと思いましたので、目次だけで勘弁して下さい。
厳密に言うと目次もアレだと思いますが、ちゃんと買って読んだ自分の本なので、許してください(誰に言っているのか)
いくら建築や設計、デザインが好きでも、食っていかなくてはなりません。
日本ではお金を稼ぐことはあまり人前で言ってはいけない風潮がありますが、カッコ付けてもいられません。
これから独立して設計事務所を開きたいという方や、今のままの経営方針で良いのかというすでに事務所を運営されている方、ひいてはこれから社会に出ていこうとしている学生さんにも読んでもらったら良いと思います。
大学の建築学科で、こういうリアルな講義もあっても良いと思います。
設計事務所を経営していくための作戦アレコレ
経営のヒントと題されたコーナーでは、いかにして設計事務所の存続を図るか、そんなことが書いてあります。
地元密着でいくのか、思い切って海外に打って出るのか、考え方や実際上手く行っている事務所が紹介されています。
フンフンなるほどと読み物としても面白いですし、今後の経営の参考にもなると思いますが、やっぱり失敗を恐れず「やってみる」人が最終的にうまく行っているのかな、という気がします。
グジグジしていても始まりません、善は急げ、現状に満足していないなら「やってみるしかないでしょう」
コラム、座談会コーナーが面白い
コラムや座談会では「ぶっちゃけた」現実がこれでもかと展開され、いろいろと考えさせられます。
実際自分が身をおく業界の方の話を読むと、やけにうなずける部分もあるのではないでしょうか。
ひとえに建築士という資格を持っているだけで考えても、さまざまな境遇・立場の人がいるのだなと、そういう生き方もあるのだなと、否応なく考えさせられます。
これからは、設計しない設計事務所もありか??
上の目次を見ていただいても、建築士の資格を活かしてできる仕事は様々にあります。
いっそのこと、設計事務所でありながら、まったく設計行為をしないという生き方だってありです。
私の勝手な見解では今後10年は省エネ関係の申請サポート業務はイケるんじゃないかと私は踏んでいます。
省エネ適判制度の開始に合わせて、業務サポートを行えるように準備しておくと、業務を独占、その後継続していけるのではないでしょうか。
もしかしたら、省エネ一級建築士という資格ができるかも(笑)
そして、今はなんでもネットで検索する世の中ですから、自分のサイトやブログをじっくり作り上げれば、地道な営業活動をしなくても自分のサイトがどんどんお客さんを呼び込んでくれる仕組みを造ることだって出来ます。
少しだけ私のことを語らさせもらいますと、このブログも地道に建築基準法の情報を積み上げて(それ以外のふざけた記事も多数ありますが)、建築基準法の重要な法規については、ネットで検索するとだいたいがこのブログがヒットするようになりました。
ポイントは、「ネットで検索してうまく見つからなかったものを自分でまとめて作ってしまった」という、これだけです。
面倒くさくて誰もやりたがらないところにチャンスはあるのかも、なんてね。
ツテも人脈もなく設計事務所を始めてしまったからには
半分は筆者の自伝
こちらの本は、正直期待はずれでした。
本が薄くてビビりました。
筆者自らがAmazonでレビューを書き込んでいるあたり、この人、実は暇なの?と勘ぐってしまいます。
個人的感想なので、タイトルが気になった方は読んでみても良いとは思いますが、どちらかと言うと学生さん向け。
すでに社会に出てそろそろ事務所を持とうと考えているような方にとってはやや物足りない。
10年、15年と建築業界に揉まれてきた方にしてみれば、「フフ、まだまだ青いな」と思ってしまうかもしれない、そんな本でした。
簡単にまとめると
所々に気になるエッセンスはあるが、特に目新しい情報なし
Kindle本で500円なら買っても良いレベル
と言った程度。
自費出版での最低の販売価格だとか、そんなことが聞きたいんじゃないんだよということがやけに書いてあって、1回読めば十分な本でしたが、それでも読んでみたい方はAmazonで買えますのでどうぞ。