建築基準法の構成 単体規定と集団規定について


建築関係の仕事に携わっていると、必ず耳にするのがこの「単体規定」と「集団規定」です。
この用語も、なんとなくの意味はわかっている方は多いと思いますので、この辺できっちりとさせてしまうのはいかがでしょうか。

そもそもこの「単体規定」「集団規定」という区分は、建築基準法独自のもののようです。
つまり、他の法律で探しみても、このような区分はありません。
それこそ、「建築」の果たす役割からして法律を策定していった結果、このような区分が出来上がったともいえます。

法律は日本全国津々浦々、等しく効力を発揮するのが前提になっています。
しかしいわゆる「集団規定」と呼ばれる建築基準法の第3章の部分は、おもに都市計画区域内のみで適用されます。
つまり、建築物それぞれの問題ではなくて、建築物が集まり形成される市街地の環境を規制したり、あるべき姿に誘導するのが役割なのです。
ですから、「集団規定」の代表格ともいえる建築物の用途の規制がありますが、これは建築物そのものの安全性だとか耐久性、耐震性といった性能的なものではなくて、都市計画に沿った「用途」だけを規制しているのです。
いいかえるならば、どんなに優秀な建築家がデザインしても、建築基準法に適合した用途でなければ建築したくてもできないのです。
設計上の創意工夫では解決できない次元のものであることを理解しなくてはなりません。

あわせて建築基準法の「集団規定」は、都市計画法と密接な関係にあります。
都市計画法の第9条では、都市計画区域内のそれぞれの用途地域についてのあるべき姿を示し、それを補完するように建築基準法の第48条で用途の詳細を規定しています。

さらに都市計画法の第10条では、用途地域をはじめとする地域地区の制限については、「別に法律で定める」とあり、具体的には建築基準法をはじめ、港湾法や流通法、駐車場法、文化財法などによるとされています。
ここだけ見れば、建築基準法は都市計画法の特別法としての性格も持っているのです。
(一般法とはその分野に対して一般的に適用される法であり、特別法がない限りその法律は適用される。特別法は一般法に優先する。一般法と特別法とで法が異なった規律を定めている場合、特別法の適用を受ける事象は一般法の規律が排除され、特別法の規律が適用される。特別法が規定される理由はさまざまであるが、一般的にいえば、特別な分野に対しては一般的な法律の他にその分野特有の規律が必要であることから、特別法が定められるのが通例である。wikipediaより引用)

一方「単体規定」はどうでしょうか。
「単体規定」はおもに建築基準法の第2章で規定される、建築物個々の技術的な基準を定めており、これらは設計者の努力や創意工夫で解決でき得るものといえます。
実際の設計において、「もうちょっと融通がきけばいいのに」と、心の中では思いつつも、建築基準法に適合しなければ建築確認済み証をゲットすることもできないので、様々な手を考えるというわけですね。

いずれにしても、「単体規定」と「集団規定」は、おなじ建築基準法に規定されているものの、性格がまったく異なる二卵性双生児のようなものといえるかもしれません。
(二卵性の双子の方みんなが性格が全く違うという意味ではありませんので、お間違いなく)

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