建築確認Tips 仮使用認定の詳細が明らかになってきました

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法27条、仮使用認定関連のパブコメが公示されています

また新たに告示制定に伴うパブコメが公示されました。

建築基準法の一部を改正する法律の施行に伴う関係告示の制定・改正案に関するパブリックコメントの募集の結果について(案件番号155140729)

上記のリンク先にあるワードファイルを読めば書いてありますが、読んでくださいね、だけだと私の存在意義が消失するので、ここでは仮使用認定に関してまとめたいと思います。

法改正後の仮使用認定における手続きや認定要件など

平成27年6月に施行される、改正建築基準法により、仮使用認定が特定行政庁だけでなく、指定確認検査機関でも受けられるようになります。
そもそもの法改正の概略を知るには、国交省のサイトで確認しておいてください。

建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)について

仮使用認定を申請するにあたり一番気になるのは

・行政でも民間の指定確認検査機関でも認定の内容は変わらないのか
・申請の書式は
・費用はどうなの

などといった部分ではないでしょうか。

今回のパブコメ公示ではQ&A形式でまとまっているので、特に重要と思われる部分をピックアップします。

裁量行為が発生する案件は行政のみが認定可能

Q
指定確認検査機関が仮使用の認定を行う場合、仮使用部分から敷地外に至る経路と仮使用部分以外の部分から敷地外に至る経路とが重複しないことを求めているが、従来からの特定行政庁の仮使用の承認では、物理的には経路は重複しているが、それぞれの経路として利用する時間を分けて重複しないこととする場合や、ガードマン等を活用して重複しないよう運用する場合もある。これらの運用も可能としてほしい。

A
裁量性のある判断が可能な特定行政庁と異なり、指定確認検査機関は裁量性がない範囲でのみ仮使用認定を行うものとしているため、経路が重複しないこととは、物理的に経路が分けられていることを要件としています。 このため、経路として利用する時間を分けて重複しないこととする場合や、ガードマン等を配置して重複しないよう運用する場合は、引き続き特定行政庁が裁量性をもって仮使用認定を行う場合に限定されます。

かなり具体的な記載となっていますが、ここで大切なのは「指定確認検査機関の裁量行為は不可」という部分です。

建築確認とはそもそも「覊束行為」であります。
基準法に記載されている内容を根拠に、適合するか否かを判定するもので、裁量を働かせる余地が無いとされています。

もちろん、実際の運用では大なり小なりの裁量行為が行われていますが、そのあたりは大人の事情ってやつです。

これまで仮使用認定が行政でしか扱えなかったのは、裁量行為が必要なためでして、そのせいで民間に開放されてきませんでしたが、今回の法改正で、「裁量性がない範囲でなら民間でもヨシしてやるか」と寛大なお裁きを頂いたわけです。

逆に、法改正で民間でも仮使用認定がOKになるから、確認から仮使用、完了検査まで全部民間でストレートフラッシュしてやろうと思っている計画でも、敷地や既存建物との関係で、民間ではNGとなる場合が多々出てくる可能性があります。

結局は事前にしっかり打ち合わせして、民間でも認定できることを、大丈夫であることを押さえて置かなければならないということです。

仮使用認定の書式や期間はどうなのか、費用は?

Q
指定確認検査機関が仮使用認定を行う場合、仮使用部分の追加が生じた場合や、期間のみの延長があった場合の取扱いについて、どのように扱うのか。

A
仮使用部分の追加が生じた場合は認定を取り直す必要があります。また、期間の延長についても同様です。

Q
指定確認検査機関への仮使用の認定の申請の際に添付する安全計画書の様式は、特定行政庁に申請する際に添付するものと同じものか。

A
安全計画書の様式については、今後通知にてお示しします。

Q
指定確認検査機関が仮使用認定を行う場合、特定行政庁が認定する場合と同様に、期間は原則3年以内と考えてよいか。

A
原則3年以内とします。

3つのQ&Aが出てきましたが、仮使用期間は現状と同じで、原則3年以内です。
安全計画書の様式は目下作成中といったところです。
認定手数料は、おそらく民間では行政の手数料を参考に、各社独自の手数料を設定してくるものと思われます。
確認申請手数料の差からみても、民間のほうが割高になると推察できます。

また、安全計画書の審査や現場での検査で要する時間については、これも始まってみないとわからないというのが正直なところでしょう。

安全性の判断、消防との調整はどうか

Q
1.仮使用中の建築物の安全を確保するためには、消防部局との連携が必要であると思うが、指定確認検査機関が仮使用の認定を行う場合、消防部局との連携はどのように行うのか。
2.仮使用認定において、消防法第17条への適合をどのように判断するのか。

A
1.消防部局との連携方法については今後改めて周知を図ります。
2.審査に当たっては消防部局との連携が必要と考えますが、消防部局との連携方法については今後改めて周知を図ります

消防との連携については、改めて通知されるとのことで、現時点では不明です。
ただ、当然事前に消防との調整が必要なことは明らかですので、法改正により消防のことは無視して良い、なんてことにはなりっこありません。

Q
必ずしも準耐火構造の防火区画が必要ではなく、不燃材料で作られた間仕切壁等他の方法により区画すれば十分ではないか。

A
建築主事又は指定確認検査機関が仮使用認定を行う基準としては、工事部分から出火したとしても、仮使用の部分の在館者が安全に避難できる性能を有するよう一時間準耐火構造とする必要があります。
一方、特定行政庁が仮使用認定を行う場合には、一時間準耐火構造に限定をせず、管理・使用方法等も含む代替措置等も含めて安全上、防火上及び避難上支障がないことを判断することとしております。

ここでも、民間と特定行政庁とで、つまり、裁量行為が可能かどうかで安全計画での仕様に差が出てきています。

くどいようですが、全体の計画の中で、民間にまかせるのか、仮使用だけ行政に申請するのか、ケースバイケースでの判断となってきそうです。

とはいえ、仮使用の検査で行政から微妙な指摘を受けたりすると、設計者も指定確認検査機関も冷や汗が止まらない、なんて可能性もあります。
できるだけ、民間なら民間で完結する計画のほうが、お互い寿命が縮まずに済みそうな気がします。

とにかく今年(平成27年)の法改正は重要な改正が多いです。
こまめに情報を共有できるようにして参りたいと思います。

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