令和元年6月に施行された法改正(平成30年改正ともいう)における、法21条、法27条、法61条の改正はこの改正の骨格をなしていると言っても過言ではありません。
基本的な事項だけでも理解しておく必要がありますし、これらがそのまま令112条の防火区画にも直接関連してくるので、避けて通れません。
そこで、上記の3つの条文をできるかぎり参照しやすいように、技術的助言なども含めバラバラになっている情報をまとめてみました。
(技術的助言のリンク先は記事の最後にあります)
参照条文が多いため、長い記事(文字量が多い記事)となっています。
適宜目次をご利用いただき参照ください。
法21条のキーワードは「通常火災終了時間」「火災時倒壊防止構造」
法21条は、大規模木造建築物等が、火災が終了するまでに倒壊しないための性能を規定するものです。
これまでは耐火建築物であることが要求されていた大規模木造建築物等ですが、「通常火災終了時間」経過後まで倒壊しない「火災時倒壊防止構造」を有していれば、準耐火建築物でもよいこととなりました。
ここでそれぞれの仕様のイメージを言葉で表すならば、次のようになります。
耐火建築物・・・所定の火災時間を経過したあとも倒壊・延焼しない
準耐火建築物・・・所定の火災終了時間経過まで倒壊・延焼しない
技術的助言によると
・法第 21 条第1項の改正により、本規定について性能規定化を行い、同項に規定する建築物は、「通常火災終了時間に基づく構造(以下「火災時倒壊防止構造」という。)」とすればよいものとしたことで、その建築物に求められる性能に対応した主要構造部の構造を定めることとした。これに伴い、主要構造部に必要とされる性能に関する技術的基準を令第 109 条の5において定めることとした。
・各主要構造部に対する非損傷性・遮熱性・遮炎性の位置付けは、従来の耐火構造・準耐火構造の枠組みと同一であり・・・
・なお、この際、通常火災終了時間については下限値を定めることとし、「消火の措置」について人的な活動であることも考慮し、一定の安全率を見込んで令第 109 条の5第1号において具体的な下限値となる時間として 45 分を定め、従来求めてきた準耐火構造としての性能を最低限確保することとした
とあり、各主要構造部の性能については従来の耐火・準耐火構造を踏襲しているものの、他の2つ、つまり法27条や法61条との差異化をより明確にしたものと考えることができます。
また、通常火災終了時間の下限値は、準耐火構造でも見慣れている「45分」が下限値となっています。
以下、法、施行令、告示(リンク)をまとめます。
第21条 (大規模の建築物の主要構造部等)
第21条 (大規模の建築物の主要構造部等)
1
次の各号のいずれかに該当する建築物(その主要構造部( 床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、その主要構造部を通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう。)が経過するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、その周囲に延焼防止上有効な空地で政令で定める技術的基準に適合するものを有する建築物については、この限りでない。
一
地階を除く階数が4以上である建築物
二
高さが16mを超える建築物
三
別表第1(い)欄(5)項又は(6)項に掲げる用途に供する特殊建築物で、高さが13mを超えるもの
2
延べ面積が3,000㎡を超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の前項の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、次の各号のいずれかに適合するものとしなければならない。
一
第2条第九号の二イに掲げる基準に適合するものであること。
二
壁、柱、床その他の建築物の部分又は防火戸その他の政令で定める防火設備(以下この号において「壁等」という。)のうち、通常の火災による延焼を防止するために当該壁等に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものによって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ3,000㎡以内としたものであること
第109条の5 (大規模の建築物の主要構造部の性能に関する技術的基準)
第109条の5 (大規模の建築物の主要構造部の性能に関する技術的基準)
1 法第21条第1項本文の政令で定める技術的基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 次に掲げる基準
イ
次の表に掲げる建築物の部分にあっては、当該部分に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後それぞれ同表に掲げる時間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
壁:間仕切壁(耐力壁に限る。) 通常火災終了時間(通常火災終了時間が45分間未満である場合にあつては、45分間。以下この号において同じ。)
壁:外壁(耐力壁に限る。) 通常火災終了時間
柱 通常火災終了時間
床 通常火災終了時間
はり 通常火災終了時間
屋根(軒裏を除く。) 30分間
階段 30分間
ロ
壁、床及び屋根の軒裏(外壁によつて小屋裏又は天井裏と防火上有効に遮られているものを除く。以下このロにおいて同じ。)にあつては、これらに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後通常火災終了時間(非耐力壁である外壁及び屋根の軒裏(いずれも延焼のおそれのある部分以外の部分に限る。)にあつては、30分間)当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。
ハ
外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後通常火災終了時間(非耐力壁である外壁(延焼のおそれのある部分以外の部分に限る。)及び屋根にあつては、30分間)屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものであること。
二 第107条各号又は第108条の3第1項第一号イ及びロに掲げる基準
第109条の6 (延焼防止上有効な空地の技術的基準)
第109条の6 (延焼防止上有効な空地の技術的基準)
1
法第21条第1項ただし書の政令で定める技術的基準は、当該建築物の各部分から当該空地の反対側の境界線までの水平距離が、当該各部分の高さに相当する距離以上であることとする。
令和元年 国交省告示193号
令和元年 国交省告示193号(pdf)
告示の内容を簡単にまとめますと
・地階を除く階数4以上→告示の第一 第1項 第一号
主要構造部:75分準耐火構造
さらに、ロからルにまでおよぶ諸条件があります。告示本文を参照ください。
第2項には75分準耐火構造の仕様が規定されています。
・地階を除く階数3以下→告示の第一 第1項 第二号
主要構造部:60分準耐火構造
・地階を除く階数2以下→告示の第一 第1項 第三号
主要構造部:準耐火構造等
下の2つについては、法改正前の施行令129条の2の3で規定されていた内容と同じです。
法27条のキーワードは「特定避難時間」「安全な避難」
法27条はこれまで重要条文として君臨してきておりますが、改正後も基本的な意味合いは変わりません。
今回の改正では、特定の規模・用途の建築物に対して大幅な緩和が行われています。
具体的には、第1項一号と四号に、「階数が3以下で延べ面積が200㎡未満のものを除く」と除外規定が追加、つまり緩和が行われています。
一号においてはさらに用途と警報設備の設置について言及されており、令110条の5および告示198号に仕様が記載されています。
これらの緩和は、法27条のキーワードである「特定避難時間」「安全な避難」に照らして考えたときに、火災時に火炎や煙にまかれることなく避難を完了するための要件さえ備えれば(火災発生初期に避難が完了すれば)、これまで主要構造部を耐火構造としなければならなかったものでも、その必要がなくなるというものです。
今回の改正の大テーマには既存ストックの活用があり、既存の3階建て住宅を用途変更しやすくするための改正となっています。
空き家の大半が200㎡未満であることも、規模を決定するための要因となった模様です。
ここで注意したいのは、法27条だけをみると除外規定のことだけしか記載がありませんが、令112条(防火区画関係)において上の除外規定に登場する用途・規模の建築物に対して所定の竪穴区画が要求されている点です。
就寝利用がある場合は警報設備を設けることで利用者が火災発生をより早く感知でき、加えて就寝利用の有無で区画の仕様に差はあるものの、避難経路となる階段部分に区画を設けることでより安全に避難が行えるようになります。
そうすることで、これまで耐火建築物としなければならなかったものでも、耐火建築物とする必要がなくなりました。
いろいろ書きましたが、法27条の改正内容については
「特定避難時間」
「安全な避難」
「階数が3以下で延べ面積が200㎡未満」
「別表1(い)欄(2)項」
といったキーワードが重要なポイントと言えます。
この改正によって、建築確認申請書に記載する用途として「別表1(い)欄(2)項」のうちの特定の用途については、就寝利用の有無を明示する必要が出てきたわけです。
その結果、申請書に記載する用途区分(番号)と名称が追加されました。
また、施行令112条の抜粋も掲載していますが、現時点(令和元年7月)では第14項の詳細(告示)は未制定です。
第27条 (耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
第27条 (耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
1
次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間(略)を設けなければならない。
一 別表第1(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供するもの(階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(2)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。)
二 (略)
三 (略)
四 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が1階にないもの(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満のものを除く。)
2(略)
3(略)
第110条の5 (警報設備の技術的基準)
第110条の5 (警報設備の技術的基準)
1
法第27条第1項第一号の政令で定める技術的基準は、当該建築物のいずれの室(火災の発生のおそれの少ないものとして国土交通大臣が定める室を除く。)で火災が発生した場合においても、有効かつ速やかに、当該火災の発生を感知し、当該建築物の各階に報知することができるよう、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる警報設備が、国土交通大臣が定めるところにより適当な位置に設けられていることとする。
令和元年 国交省告示198号
令和元年 国交省告示198号(pdf)
施行令112条(抜粋)
施行令112条(抜粋)
10
主要構造部を準耐火構造とした建築物又は第136条の2第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は3階以上の階に居室を有するものの竪(たて)穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が2以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該竪(たて)穴部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第12項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する竪(たて)穴部分については、この限りでない。
一
避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなつている部分、階段の部分その他これらに類する部分でその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたもの
二
階数が3以下で延べ面積が200m2以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が3以下で、かつ、床面積の合計が200m2以内であるものにおける吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分
11
3階を病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。次項において同じ。)又は児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものに限る。同項において同じ。)の用途に供する建築物のうち階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(前項に規定する建築物を除く。)の竪(たて)穴部分については、当該竪(たて)穴部分以外の部分と間仕切壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた建築物の竪(たて)穴部分については、当該防火設備に代えて、10分間防火設備(第109条に規定する防火設備であって、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。第18項において同じ。)で区画することができる。
12
3階を法別表第1(い)欄(2)項に掲げる用途(病院、診療所又は児童福祉施設等を除く。)に供する建築物のうち階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(第10項に規定する建築物を除く。)の竪(たて)穴部分については、当該竪(たて)穴部分以外の部分と間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)で区画しなければならない。
13
竪(たて)穴部分及びこれに接する他の竪穴部分(いずれも第1項第一号に該当する建築物の部分又は階段室の部分等であるものに限る。)が次に掲げる基準に適合する場合においては、これらの竪穴部分を一の竪(たて)穴部分とみなして、前3項の規定を適用する。
一
当該竪(たて)穴部分及び他の竪(たて)穴部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げが準不燃材料でされ、かつ、その下地が準不燃材料で造られたものであること。
二
当該竪(たて)穴部分と当該他の竪(たて)穴部分とが用途上区画することができないものであること。
14
第11項及び第12項の規定は、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物として、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類並びに消火設備及び排煙設備の設置の状況及び構造を考慮して国土交通大臣が定めるものの竪(たて)穴部分については、適用しない。
法61条のキーワードは「延焼防止建築物」「延焼防止時間」
法61条は防火・準防火地域内の建築物についての規定です。
これまでは法61条が防火地域、法62条が準防火地域と地域別に条文が構成されていましたが、一つの条文にまとめられました。
合わせて、この条文が果たす意味合いを「市街地における延焼拡大の防止」とこれまで以上にアピールしています。
わかりやすく言えば、隣地や近隣で火災が発生した場合、類焼せずにこの建物で火災の拡大を食い止めることができる性能が要求されているということです。
外壁や開口部の性能を重視することで、内部の仕上げ等に木材の現しを採用することも可能になりました。
主要構造部の耐火、準耐火が必須だった旧法と比べると、法の目的がより明確になったことで建築としての自由度が上がることになりました。
第61条 (防火地域及び準防火地域内の建築物)
第61条 (防火地域及び準防火地域内の建築物)
防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、門又は塀で、高さ2m以下のもの又は準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、この限りでない。
施行令第136条の2
施行令第136条の2
(防火地域又は準防火地域内の建築物の壁、柱、床その他の部分及び防火設備の性能に関する技術的基準)
1
法第61条の政令で定める技術的基準は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一
防火地域内にある建築物で階数が3以上のもの若しくは延べ面積が100㎡を超えるもの又は準防火地域内にある建築物で地階を除く階数が4以上のもの若しくは延べ面積が1,500㎡を超えるもの 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準
イ
主要構造部が第107条各号又は第108条の3第1項第一号イ及びロに掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備(外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に設ける防火設備をいう。以下この条において同じ。)が第109条の2に規定する基準に適合するものであること。ただし、準防火地域内にある建築物で法第86条の4各号のいずれかに該当するものの外壁開口部設備については、この限りでない。
ロ
当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間(建築物が通常の火災による周囲への延焼を防止することができる時間をいう。以下この条において同じ。)が、当該建築物の主要構造部及び外壁開口部設備(以下このロ及び次号ロにおいて「主要構造部等」という。)がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該主要構造部等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。
二
防火地域内にある建築物のうち階数が2以下で延べ面積が100㎡以下のもの又は準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が3で延べ面積が1,500㎡以下のもの若しくは地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下のもの 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準
イ
主要構造部が第107条の2各号又は第109条の3第一号若しくは第二号に掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備が前号イに掲げる基準(外壁開口部設備に係る部分に限る。)に適合するものであること。
ロ
当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が(略)
三
準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡以下のもの(木造建築物等に限る。) 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準
イ
外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分が第108条各号に掲げる基準に適合し、かつ、外壁開口部設備に建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、当該外壁開口部設備が加熱開始後20分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)に火炎を出さないものであること。ただし、法第86条の4各号のいずれかに該当する建築物の外壁開口部設備については、この限りでない。
ロ
当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が(略)
四
準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡以下のもの(木造建築物等を除く。) 次のイ又はロのいずれかに掲げる基準
イ
外壁開口部設備が前号イに掲げる基準(外壁開口部設備に係る部分に限る。)に適合するものであること。
ロ
当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が(略)
五
高さ2mを超える門又は塀で、防火地域内にある建築物に附属するもの又は準防火地域内にある木造建築物等に附属するもの 延焼防止上支障のない構造であること。
令和元年 国交省告示194号
令和元年 国交省告示194号(pdf)
補足:法53条のキーワードは「同等以上の延焼防止性能」
法61条に関連する補足事項として、法53条についてもまとめます。
これまで、建ぺい率の緩和といえば角地か容積率80%の防火地域でしたが(他にもありますが割愛)、準防火地域でも建ぺい率の緩和が適用されることになりました。
この改正の目的は、延焼防止性能の高い建築物への建て替え促進です。
「これまでより敷地いっぱいに建てていいからさ、類焼しにくい性能の建物に建て替えてみてはいかが??」と国が促してくれているわけです。
なお、法53条とそれに続く施行令135条の20として条文が構成されていますが、要求される仕様は法61条における仕様とものと同じです。
法61条で出てきた、延焼防止建築物、準延焼防止建築物の仕様です。
防火地域内であれば、「耐火建築物同等以上の延焼防止性能」、準防火地域であれば「耐火建築物同等以上の延焼防止性能」または「準耐火建築物同等以上の延焼防止性能」を有していれば、建ぺい率が10%サービスされます。
容積率80%の防火地域における、20%サービスも従前どおり残っており、耐火建築物としなくても「耐火建築物同等以上の延焼防止性能」であれば、建ぺい率がサービスされます。つまり建ぺい率100%で建てられます。
第53条 (建蔽率)
第53条 (建蔽率)
(略)
3
前2項の規定の適用については、第一号又は第二号のいずれかに該当する建築物にあっては第1項各号に定める数値に10分の1を加えたものをもつて当該各号に定める数値とし、第一号及び第二号に該当する建築物にあっては同項各号に定める数値に10分の2を加えたものをもつて当該各号に定める数値とする。
一 防火地域(第1項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が10分の8とされている地域を除く。)内にあるイに該当する建築物又は準防火地域内にあるイ若しくはロのいずれかに該当する建築物
イ 耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能(通常の火災による周囲への延焼を防止するために壁、柱、床その他の建築物の部分及び防火戸その他の政令で定める防火設備に必要とされる性能をいう。ロにおいて同じ。)を有するものとして政令で定める建築物(以下この条及び第67条第1項において「耐火建築物等」という。)
ロ 準耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物(耐火建築物等を除く。第8項及び第67条第1項において「準耐火建築物等」という。)
二 街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物
(略)
6 前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 防火地域(第1項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が10分の8とされている地域に限る。)内にある耐火建築物等
施行令第135条の20 (耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物等)
第135条の20 (耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物等)
1
法第53条第3項第一号イの政令で定める建築物は、次に掲げる要件に該当する建築物とする。
一
外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備が設けられていること。
二
壁、柱、床その他の建築物の部分及び前号の防火設備が第136条の2第一号ロに掲げる基準に適合し、かつ、法第61条に規定する構造方法を用いるもの又は同条の規定による認定を受けたものであること。
2
前項の規定は、法第53条第3項第一号ロの政令で定める建築物について準用する。この場合において、前項第二号中「第136条の2第一号ロ」とあるのは、「第136条の2第二号ロ」と読み替えるものとする。
令和元年施行の法21条、法27条、法61条について まとめ
わかりやすくまとめたかったのに、結局わかりにくくなりました。
条文を引用するとどうしてもごちゃごちゃしますが、「建築申請memo」のように図表にまとめてしまうと条文が疎かになりがちなのであえてこういうスタイルにしています。
告示は縦書きを横書きに組み替えるのがめちゃくちゃ面倒なので、pdfそのままです。ご容赦ください。
今回施行された改正法は、以下のように各条文のもつ意味がより明確になりました。
法21条のキーワードは「通常火災終了時間」「火災時倒壊防止構造」
法27条のキーワードは「特定避難時間」「安全な避難」
法61条のキーワードは「延焼防止建築物」「延焼防止時間」
あらためて各条文が要求する意味合いや本質を理解しながらだと、ただ単にパズルのように仕様を当てはめて設計するより納得の度合いが高いと思いませんか??
何はともあれ、改正されたこのタイミングこそ、条文から読み取って理解するチャンスです!!
さらに、以下の技術的助言とその別紙を読むことで法改正の主旨も含め、より一層理解が深まります。
ぜひ、一読と言わず二度三度、読んでみてください。
技術的助言
国住指第654号 国住街第41号 令和元年6月24日
本文(pdf)
別紙1 主要構造部に係る規制について (pdf)
別紙2 小規模建築物の主要構造部規制の合理化 (pdf)
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