多雪地域「ではない」地域の積雪荷重が割増になります!という告示改正

sekisetsu
平成26年、関東甲信越地方にもたらされた大雪で、多雪地域ではない地域で建築物の屋根の崩落など、大きな被害があったことは記憶に残っている方も多いと思います。

それを受けて国交省が調査、検討を行った結果、告示が改正されることになりました。

以下、詳しく見ていきましょう。

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一定規模の緩勾配屋根について、積雪後の降雨も考慮し積雪荷重を強化


一定規模の緩勾配屋根について、積雪後の降雨も考慮し積雪荷重を強化します
~建築基準法の告示を改正し、平成31年1月15日から適用~

改正内容  
一定の建築物には、構造計算において用いる積雪荷重に、積雪後の降雨を考慮した割増係数を乗じることとします。

<対象建築物>(以下のいずれにも該当するもの)
多雪区域以外の区域にある建築物垂直積雪量が15cm以上の区域に限る
以下の屋根を有する建築物
・大スパン(棟から軒までの長さが10m以上
・緩勾配(15度以下
・屋根重量が軽い(屋根版が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造でないもの


yuki改正内容01 国交省報道発表資料pdfより

詳しい経緯、基準は国交省資料にすべて記載があるので、そちらをご覧いただくのが確実です。

一定規模の緩勾配屋根について、積雪後の降雨も考慮し積雪荷重を強化します

注意点としては、対象建築物の条件に「多雪区域以外の区域にある建築物(垂直積雪量が15cm以上の区域に限る)」とあります。

では、多雪地域ではない地域(垂直積雪量が15cm以上の区域)の人口比率は、日本でどれくらいあるか調べてみました。

参考資料として国交省の定める、全国の市町村の垂直積雪量一覧表があります。

また、標高から多雪地域に該当するか求める式もあります。

図で見るとこんな様子です。

yuki多雪以外 国交省資料別紙1pdfより

これらの情報を元にすると、日本の各地域から北海道、東北の宮城、福島以外、信越、北陸、山陰がほぼ多雪地域に該当してきます。
人口が集中する太平洋側は、兵庫や大阪の一部を除き、積雪量15cm以上はあります。
沖縄県や九州南西部はほぼ除かれます。

平成27年の日本の人口1.27億人から、上記の都道府県を引いてみて残ったのがなんと1億人でした。
人口比率で約80%の地域について、建築物の構造計算時に積雪荷重を加算することになります。
これまで、構造検討で雪のことなどまったく考慮しなくて良かった地域の方も、改正告示の条件に当てはまるかどうかを確認する必要が出てきます。

今後の人口減少を鑑みても、かなり影響の大きな改正となることは間違いないでしょう。

体育館や大規模工場の計画などにおいては、構造計算時の条件設定ミスがあってはなりませんし、荷重増ということで材料強度が要求されますから、建築コストに大きく跳ね返ることは想像に難くありません。
それらを踏まえてか、公布予定は平成30年1月15日ですが、施行予定は公布の1年後の平成31年1月15日となっています。

施行前には改めて国交省からアナウンスがあるかもしれませんが、将来の法改正を踏まえておいて損することはありません。

設計者の立場としては、本当にユーザーのことを考えると、現在計画中の案件にこの新規定を適用してしまってもいいかもしれません。
そうすれば、新告示施行後も積雪荷重に関しては既存適格な建築物となります。
また、計画が思うように進まずに告示改正後に建築確認を申請することになれば、構造計算はやり直しになり建築コストも増加してしまうでしょう。
もちろん、スパンや材料などの条件にあてはまる場合には、ということにはなります。

単純に実現できない事情もあるでしょうが、予め積雪荷重を考慮してしまうということは一考の余地ありといったところです。
建築物の安全性に大きく関わる改正となりますので、詳細をしっかりと把握しておきたいところです。

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