アルミ合金造の構造規定が建築士の特例対象になります【パブコメ】

almi告示01

2021年5月10日に公示された意見公募(パブコメ)が、今後の設計業務の省力化につながりそうなので採り上げます。

内容は上記画像のとおりで、
アルミニウム合金造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件等の一部を改正する告示案に関する意見募集
となっています。
(意見募集サイトにリンクしています。)

どうやら
ソーラーパネル付きアルミ造カーポートの確認申請がスムーズになるようにしてやるから、お前らガンガン建てまくってバンバンCO2削減に協力してくれよな!!
と小泉大臣が言ったとか言わないとか。

詳細は以下にまとめていきます。

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アルミ合金造が建築士の特例に追加される

アルミ告示02

パブコメ概要によりますと、これまでアルミ合金造は50㎡以下であれば確認申請に構造計算書の添付が不要でしたが、それが200㎡以下に引き上げられる(緩和される)ことになります。

さらに、いわゆる建築士の特例対象にアルミ合金造の仕様規定も追加されるというものです。

ここまで読んで
「アルミ合金造のカーポートの建築確認ってどんなだっけ?何かややこしいことあったかな?」
と思ったあなた、間違ってません。
確認審査機関でもしっかりわかっていなかったりしますから。

そのあたりを踏まえて、以下で説明していきます。

アルミ合金造の取り扱い:今までとこれから

まず初めに、建築確認申請(つまり建築基準法)において「施行令に記載してある仕様を満足すべし」として示してある構造には、以下の種類があります。

・木造、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(壁式やSRC含む)
があります。

一方で、この記事の話題でもあるアルミ造や丸太組(ログハウス)、膜構造といったやや特殊な構造は別途告示に仕様が定められていたり、一定規模以上は構造計算が必要と定められています。

ここで、一般住宅などに付属して建てるアルミ造のカーポートの確認申請について改めて考えると、
・床面積が50㎡以下になるようにしている
・メーカーの「仕様適合確認書」を添付している

ことに思い至ると思います。

例えばリクシルなんかは、以下のようにサイトから各種カーポートの資料をダウンロードできるようにしています。

カーポートの建築確認申請 アルミニウム建築構造の国土交通省告示(建築基準法)について

そして、50㎡を超えてしまうと構造計算書を添付しなければならなくなるため、泣く泣く2棟にわけたりしていたのです。
(もしくは相当の時間と費用をかけて構造図や計算書を添付して確認を受けている)

大半が平屋で、しかも車庫なので居室ではない上に規模もそれほどでもない建築物であるにもかかわらず、アルミ造というだけで一般的な木造住宅並みに申請図書を準備していたわけです。

それが小泉大臣の鶴の一声(かどうかは謎ですが)によって、アルミ合金造の確認申請において
・構造計算が必要な規模が200㎡以下に拡大される
・構造仕様規定が建築士の特例対象になる

という、なかなかうれしい法改正がなされる運びとなったわけです。
(ついでに埋め込み柱脚の基準も適用除外になるという緩和も付け加えられています)

本質的なところは「日本の脱炭素対策が全然進んでいない」という現状があり、住宅の屋根のみならずカーポートも屋根があるんだからそこに太陽光パネルを載せてもらうべく、より大面積のカーポートでも確認申請の負担を少なく、建てやすくしようというものです。

ソーラーパネルをやたらと載せれば本当に脱炭素に貢献するのか、という議論はここではやめておきます。
自動車の内燃機関をやめれば脱炭素化が本当に進むのか、アイスコーヒーのストローをやめればウミガメが救われるのか、という話と本質は同じだとは思いますので。

ちょっと脱線しましたが、ソーラーパネルを載せていないカーポートも当然申請作業の省力化が可能になりますので、まずはこの規制緩和に「いいね!」を差し上げたいと思います。

担当大臣や担当閣僚がなんとかこじつけで実績を残そうとしている、という勘繰りはしないことにしておきます。

それからよくあるうっかりミスとして、第一種低層住居専用地域には単独で車庫は建てられませんので注意してください。

アルミ合金造の構造特例化、今後のスケジュール

アルミ合金造緩和予定

今後の予定としてはパブコメを経て、令和3年7月には改正法が施行される見込みです。
いわゆる既定路線ですから、よっぽどのことがない限り施行されるでしょう。

パブコメ結果で気になる回答があればまたまとめたいと思います。(未定)

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