私が地味に愛用している建築確認の参考書籍は、日本ERIが作っている「目からウロコの確認申請」です。
過去に「建築申請memoか、建築法規PROか。それが問題だ。」という記事も書いてますが、何だかんだでウロコを参照する機会が多いですね。
私にとっての初代の目からウロコは、かなりボロボロになるまで読み込みました。どうやったらこんなに汚くなるのかというくらい、汚いです。でも、それだけ参照することも多かったということです。
そこで、何故メモ・プロではなくウロコの参照が多い理由をざっくりと紹介したいと思います。
目からウロコの確認申請がメモプロと違うところ
まず大きく異なるのは、答えの数値を見つけるというより、読む辞書といった構成になっている点です。
目次を見てもらうとわかりますが、条文の解説のみならず語句の解説もあり、初学者でも取っ掛かりを掴めるといえます。
メモプロはある程度分かっている人が、細かい部分(数値)を再確認する、という使い方が多いような気がします。もちろん、メモプロにも解説はありますがテクニックとか、解法の記述が大半を占めています。
また、メモプロにはいわゆる「遊び」というかゆとりを垣間見せる項目はなく、質実剛健ですが目からウロコには「目からウロコ コラム」があって、建築基準法にまつわる「トリビア」がポイントポイントで記載されています。
上の写真では、改訂に伴い追加された項目に印を付けたものですが、法改正による改訂以外に充実したような印象を受けます。
実務に直結しないものも多々ありますが、日本ERIの企業としての姿勢というか余裕が感じられる部分でもあります。一方でこんなものを載せるくらいなら省いて値段をもっと下げろというご意見もあることでしょう。
その辺りは良いとも悪いとも言えませんが、大人としての度量が試されていると受け止めておきましょう。
目からウロコの確認申請のメリットデメリット
目からウロコの確認申請の良いところ
・確認申請に関連することが一通り全部書いてある
目次の下のほうがちょっと見切れていますが、目からウロコには建築確認申請の書き方を指南する部分もあります。
当然、最新の書式での解説となっています。
4面や6面は記載方法がわかりにくいため、申請のたびに修正の指摘を受ける方も多いのではないでしょうか。そんな指摘を受けないためにも、あらかじめチェックすることができます。
申請建物の用途区分の番号や、完了検査のことまで説明があって便利だと思います。
さらに建築確認申請に関連する申請として、構造適判や省エネ適判についても説明しているページがあり全体を俯瞰することにも役立ちます。
・いろんな参考書の良いとこどり
実際の書籍内容を載せるのは著作権的にアレなんで説明だけになりますが、例えば高さ関係の説明では「集団規定の適用事例」の説明を引用して解説してる部分がありますし、避難関係であれば「防火避難規定の解説」から引用して解説しています。
つまり、一般的なまたは多くあるであろう事例については、各種参考書籍を渡り歩かなくても「目からウロコ」一冊で足りることが多々あります。
メモプロも同様な引用で解説している部分もありますが、目からウロコではさらに注釈などでより細かい点に踏み込んでいたりします。
じっくり読んで建築法規の理解を深める、という使い方に抵抗がない方にはとても良い本なのではないかと思います。
また、申請書の書き方の本、高さの算定の本、面積算定の本、などとバラバラに本を買う必要がないのもメリットといえます。
目からウロコの確認申請のイマイチなところ
・目的のページにたどり着きにくい
メモプロと最も違うのは、目的のページに到達しにくいこと。本の小口に模様はついていますが、それがどの項目を表しているかは全く分かりません。
メモプロは色分けがしてあって、ぱらぱらとめくると目的のページの在処の目星が付けやすくなっています。この点については目からウロコは非常に分が悪いですね。
上でも書いたように、多少じっくりと読んで理解し、確認するということが求められているとも言えます。
しかも、これは2020年版からの改悪なのですが、巻末の索引が無くなっています。
たまに工作物のことを調べたりするのですが、これまでは索引から該当ページを引いて調べていたのに、2020年版は目次から引かなければいけないのでとても手間がかかります。
すぐに答えにたどり着きにくいので人によっては読む気を失くす原因となりえます。
もし日本ERIの人が読んでいたとしたら、次の改訂で絶対に索引を復活すべきだということを声を大にして申し上げたいですね。
辞書的に使う本なので、索引は必須です。
目からウロコの確認申請はこう使おう
・メイン項目にインデックスを貼る
・3回くらい見たページには付箋を追加
・防火避難規定の解説と集団規定の適用事例も結局セットで欲しい
上にも書いたように、2020年版からは索引が無くなってしまったのでよりインデックスを貼るのは必須になりました。
最新版でなくてもインデックスは貼っていましたが、より重要になっています。貼り方は建築士試験を受けた方なら、法令集に見出しを貼る時の事を思い出してもらえばいいはずです。
小口に見出しの高さ+5ミリくらいの感覚で線を引いておき、重要そうな項目にあたりを付けて貼るだけです。
あまり細かく貼りすぎるとインデックスが重なって見えなくなるので、頃合いが大切です。
さらに、そのインデックスはいわば大見出しで、使っているうちにそれを補完する小見出しのようなものも必要になることでしょう。
2,3回引いたな、また引きそうだなという項目に追加してあげると便利だと思います。
付箋の具体例としては、小さめの付箋の糊の付いていない側を少し切り短くしてから貼ると良いと思います。(長いままだと本文を隠してしまうので)
で、最終的な法検討の漏れがないかチェックするときは、結局のところ防火避難規定の解説と集団規定の適用事例も併せて参照しましょう。
重要な部分では目からウロコの中で引用されていますが、すべてを網羅しているわけではありません。
これらの点に注意しておけば、「目からウロコ」はメモプロ以上の存在になりえる、かもしれません。
どうぞ参考になさってください。