みなさん、建築士定期講習、ちゃんと受講してますか?

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平成20年に施行された改正建築士法により実施されることになった、「建築士定期講習」。
すでに建築士を持っていた方、平成23年頃までに合格した方は、1度以上受講されていることかと思います。

ただ、建築基準法でさえ読むのが面倒なのに、建築士法なんて持っと読みたくない、という方も多いことでしょう。
そこで建築士定期講習について、まとめてみましたので是非お役立てください。

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建築士定期講習の制度、受講義務のおさらい

まずは、わかっているようでよくわかっていない、定期講習制度創設の理由から。
こういった法改正は、今まで法の網に上手く引っかかっていなかった事柄について、縛りをきつくするために設けられるのが一般的です。

建築士の定期講習制度は、かの有名な「姉歯建築士」がやらかしたお陰?で創設されました。
詳しいことは、建築技術教育普及センターにまとめられていますのでご確認ください。
建築技術教育普及センター:建築士を対象とした講習

定期講習はいつ、何年置きに受講したらいいのか

建築士の皆さんであれば、定期講習を受講しなければならないのは百も承知だとは思いますが、受講するタイミングをうっかり逃してしまうのが面倒、という方も多いことでしょう。

建築士法及び建築士法施行細則には次のように定められています。

定期講習

いかがでしょう。相変わらず、面倒な記述でげんなりです。
もっとスッキリまとめると、次のようになります。

  • 建築士事務所に所属している建築士は
  • 建築士定期講習を受講した年度の翌年度から
  • 3年以内に定期講習を受講すること

となります。

平成26年度(平成26年4月1日から平成27年3月31日まで)に定期講習を受講したのであれば、平成29年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)中に定期講習を受講しなければなりません。

では建築士に合格したばかりの方はどうなるかというと、次のようになります。

  • 建築士に合格した翌年度から
  • 3年以内に建築士事務所に所属した場合は
  • 合格した翌年度から3年以内に受講すること

となります。
すでに建築士である場合に比べて注意すべき点は、建築士事務所に所属してから3年ではなくて、所属したなら過去にさかのぼって合格年度の翌年から3年以内に受講しなければならないということです。
また、合格後3年以上経過してから、設計事務所に所属した場合であれば、「遅滞なく」定期講習を受講する必要があります。すでに建築士事務所に所属していたのであっても、考え方は同じです。

同じように、しばらく設計事務所に所属していなかった建築士が、定期講習を受講すべき期間を過ぎて、建築士事務所に所属した場合も、「遅滞なく」定期講習を受講しなければなりません。

ここで、建築士事務所に所属していない、建築士、例えば公務員の方や大学等の研究機関、民間の確認審査機関に務める方は、定期講習の受講義務はありません。
あくまで、建築士事務所に所属する建築士だけが受講する制度なので、お間違いなきよう。

ところで、構造設計一級建築士、設備一級建築士はどうなっているかというと、一級二級木造の各建築士とは異なる、専門の定期講習を受講しなければなりません。

定期講習 構造設備

前回の受講の翌年度から3年以内というのは共通ですが、構造設計一級建築士、設備一級建築士は建築士事務所に所属しているかどうかにかかわらず、定期講習を受講しなければなりません。
つまり、公務員で一級建築士と構造一級建築士を持っている人は、一級建築士の定期講習は受講しなくてもいいが、構造一級建築士については受講しなければならない、ということになります。

建築士定期講習制度のよくある質問集

よくある質問なんて、ネットで検索すればどんどん出てくるのであえて書くまでもありません。
というわけで、大抵の疑問が解消するであろうサイトを紹介します。
決して手抜きではありません。合理化です。

▼受講対象者、受講期間についてまとめられています。
(公財)建築技術教育普及センター:建築士の講習

▼建築士定期講習の概略について
建築技術教育普及センター:一級建築士・二級建築士・木造建築士の定期講習

建築士定期講習を受けないと罰則はあるのか

3年に1回受講しなければならない、建築士定期講習。
うっかり受講を忘れたら、罰則等はあるのでしょうか。

答えは、「あります。」

国交省からも、脅しに近い文書が公表されています。
定期講習の受講について(PDFファイルです)

この文書によれば、「戒告または2ヶ月間の業務停止処分の対象」となるということで、建築士の経歴にイタイ傷が付くことになります。

ちなみに、いまだに後を絶たない「ニセ建築士」や「自作の確認済証」の発行で処分される建築士たちに対しては、それぞれの内容によって、罰則のランクが決まり所定の処分を受ける仕組みになっています。

国交省資料:一級建築士の懲戒処分の基準(PDFファイルです)

処分の情報は、建築士のデータベースに記録され、行政や指定確認検査機関の建築確認審査担当が閲覧できるようになっています。
定期講習ごときで、処分歴が記録されるなんてやってられません。が、ルールはルールです。
つまるところ、忘れずに受講するしかありません。
Googleカレンダーやエバーノート等のリマインダー機能といったITを駆使するもよし、トイレの壁にメモを貼っておくも良しですが、いずれにせよ忘れない工夫が必要です。
日本ERIの定期講習(ERIアカデミー)では、「3年後お知らせサービス」という、忘れん坊には渡りに船の大変ありがたいシステムがあるので、受講先を検討するときは調べてみると良いかもしれません。

最近の定期講習でもらえる本がスグレモノです

私も先日、建築士の定期講習を受講してきたのですが、講習テキストの他に、もう一冊、別冊の資料をもらいました。これは、新・建築士制度普及協会が編集したもので、どの機関の定期講習を受講してももらえるそうです。

そして、この資料が、建築確認用の法チェックに役立つ情報が、ぎゅぎゅっとまとめてあって便利そうなのです。

▼建築基準法の運用解説について、こんな感じでまとめてあります。
別冊資料表紙
別冊資料 抜粋

画像がイマイチなのでアレですが、法チェックには必携の書籍となっている、「集団規定の適用事例」や「防火避難規定の解説」等から、美味しいところを抜粋してまとめてあるというものになっており、いろいろな本を参照する手間が省けて結構便利です。
参考:建築確認申請でつまづかないために、座右にあると便利な書籍

朝から夕方までひたすら座り続け、終いにはテストまであるという苦行に耐えなければ維持できない建築士資格ですから、こんなおまけでもないとやってられません。

とはいうものの、法律で定められていることなので、個人のわがままは通じません。
適切な時期にしっかり受講しておきましょう。確認申請を提出した確認審査機関から「定期講習の期限過ぎてますけど・・・」という心臓に悪い連絡が来ることが無いように・・・。

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