建築基準法改正の法律案要綱 要点チェック

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改正法案要綱をもっと理解しやすくしてみました

建築関係業界の方はすでに御存知の通り、建築基準法の改正案が閣議決定されました。
日経の業界ニュースサイト「ケンプラッツ」でも取り上げられています。

適判見直しなど建基法が大改正へ
(公開から時間が経つと、有料会員しか見られなくなるようです。)
日経アーキテクチュアの3/25号にも同記事が掲載されています。

また、当サイトでも取り上げました。

建築基準法改正案が閣議決定 法改正が着々と進行中です

大まかな内容はケンプラッツの記事を見れば分かりますが、現時点でもう少し詳細に理解するには国交省が発表した資料を読みこなさなければなりません。

ただ、読んでみるとわかりますが、縦書で文字ばっかり、およそ1分後には夢の世界へ誘われる始末・・・。

そうです。
眠くなってしまうんです!

そこで、忙しい皆さんに代わり、マブタにキンカンを塗りながら読んでおきました!

さらに、今後も役に立ちそうな重要なポイントをまとめました。
国交省発表資料の2つの資料を見ながら、記事を読んで頂くことになりますが、一から読みこなすより楽だと思いますので参考にして下さい。

お手元に法令集を用意しておくとさらにGood!です。
(もしくは新旧対照条文(pdfファイル)を見ながら内容を確認するとわかりやすいです)

建築基準法の一部を改正する法律案:要綱(pdfファイルです)
(全20項目について記載されています。)

建築基準法の一部を改正する法律案:法律案・理由(pdfファイルです)
(要綱に記載されている内容について、法文が具体的にどう改正されるかが記載されています)

「移転」と既存不適格建築物に関する規定

要綱:P1 第1

移転も建築行為に含まれていますが、既存不適格建築物の対象となっていなかったので含むようにするという改正です。

法律案:P2 4行目、P49 3~10行目

構造計算適合性判定制度の見直し

要綱:P1 第2~第4、P13~P19 第15、第16、第17

建築基準適合判定資格者(いわゆる主事資格)制度の整備、構造計算適合判定資格者検定(構造適合判定員)制度の創設、構造適判制度の見直しに関する改正です。

第2、第3は、上記2資格の検定機関を制定されること、構造適判の判定員が検定により選抜されることになる改正です。

第4は構造適判制度の大幅な見直しです。
構造計算適合性判定も、建築主が直接申請し、適合判定通知書を入手する流れに変わります。
構造適判が必要な建築物の確認申請を申請する際は、上記の適合判定通知書を申請書に添付します。
確認申請の審査期限の3日前までに判定通知書を提出すれば良いとあります。
構造適判は確認申請よりも前もって依頼しておく流れになる模様です。

これまで既存不適格建築物への増築の場合は法20条の規定の適用を受けなかったため、増築部分はルート3で計算されていても構造適判を受ける必要がありませんでした。
しかし今回の法改正で「特定増改築構造計算基準」が設けられ、該当する増築の場合は構造適判を受けなければなりません。

一方で、比較的容易に審査が出来る構造計算(政令は現時点で未制定)の場合は、「特定構造計算基準」「特定増改築構造計算基準」に該当する建築物であっても、「高度の専門知識を有するもの(省令により定められる。現時点で未制定)」が確認審査を行えば、構造適判を受ける必要がありません。

法律案:P2 5行目~P9 12行目、P29 10行目~P48 9行目
法律案の後半部分は、主事試験に出るような部分ですので、読んでも読まなくても良いと思います。

要綱:P9 第9、第10

第9は国や都道府県、建築主事を置く市町村の建築物に対する確認に関しての改正です。
さらっと読めば良いと思います。

第10は構造適判の審査機関の指定に関する改正です。

これまでは構造適判の審査機関は都道府県が指定していましたが、これからは2以上の都道府県で業務を行う機関は国が、1の都道府県で業務を行う機関はその都道府県が指定することになります。
適判機関が少なくて困っていた道府県の審査機関が増加する可能性があります。

法律案:P18 9行目~P23 5行目

指定確認検査機関による仮使用認定制度の創設

要綱:P5 第5

仮使用についてはこれまで建築主事による「承認」が必要でしたが、指定確認検査機関も含めた「認定」に改正されます。
建築確認を審査を受けた同じ指定確認検査機関で、仮使用の審査も受けられるようになります。
申請者の利便性が向上し、特定行政庁にとっても合理的な改正です。

法律案:P10 3行目~P11 4行目

定期調査・検査報告制度の強化、調査権限の強化・創設

要綱:P5~P9 第6、第7、第8

定期調査や検査の対象が見直されます。
政令で定められる建築物、特定行政庁が指定する建築物が対象となります。
また、防火戸等の「特定建築設備等」に定期調査、報告の義務が課せられます。
上記検査のための、建築物調査資格者証の交付、建築設備等検査員資格者証の交付が一定の条件のもとで行なわれるようになります。

法律案:P11 5行目~P18 8行目

構造耐力に関する規定

要綱:P9 第11

構造上別の建築物とみなす部分について政令が定められます。
法20条に第2項が追加されます。

法律案:P23 6行目~9行目

木造建築物に関する規定の見直し

要綱:P10 第12

法21条2項が改正され、耐火建築物でなくても対応可能となります。
法27条第1項が改正され、耐火要求を受ける建築物の用途、規模が改正されます。
同時に別表1も改正されます。

法律案:P23 10行目~P26 2行目、P60 5行目~P60 13行目

特殊の構造方法又は建築材料

要綱:P12 第13

建材等の性能規定化で姿を消した、「38条認定」が復活します。

法律案:P26 3行目~7行目、P27 2行目~P29 9行目

容積率制限の合理化

要綱:P12 第14

老人ホーム等の用途に供する地階の部分の床面積が、延べ面積の1/3を限度として容積率の対象から除かれます。住宅の地階の部分と同様の扱いに緩和される模様です。

また、政令で定める(現時点で未制定)昇降機の昇降路部分の床面積は容積率の対象から除かれます。

法律案:P26 8行目~12行目

罰則規定の改正

要綱:P19 第18

罰則の対象者に、「認定建築材料等を引き渡した者」が追加されます。
その他、各改正に伴い、罰則規定が整理されます。

法律案:P53 8行目~P60 4行目

その他、附則

要綱:P20 第19、第20

ここの項目には法改正の具体的内容はありません。
改正法は公布から1年以内に施行されるとあります。
施行日前に申請された建築確認は、改正前の法律で審査されるとあります。(経過措置)
その他関係規定や関連法が改正されるとあります。

法律案の最後に理由が記載されていて、読むと「なるほど」と納得できます。

法律案:P61~P70

建築基準法の一部を改正する法律案読み下し まとめ

建築基準法の一部を改正する法律案:法律案・理由が全71ページあることからもわかるように、建築基準法が書き換えられる部分が広範囲に及んでいることが分かります。

この改正が今すぐ施行されるわけではないので、現時点でしっかり理解する必要はありません。

しかも、合わせて改正、制定される政令や省令の詳細も不明なので、完全な理解は今は無理と言えます。

ただ、ここで頑張って1回でも読んでおけば、改正法の施行の段階で慌てなくて済みます。

改正法案成立から、公布、施行までのスケジュールがわかったタイミングで「ああ、例のあれね」と、今後の申請スケジュールにも余裕を持って対応できるわけです。

建築基準法は本当に面倒な法律ですが、慣れればそんなに怖くありません。
慣れるのに少々時間がかかるだけです。

新たな情報がわかり次第、今後もお知らせしていきます。

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