大規模建築の計画では今後、特定天井は避けて通れない
先日こちらの記事(既存不適格建築物の増築のハードルがまた上がる?天井の脱落防止のための改正政令が閣議決定)でお伝えした、特定天井に関する告示が8月5日に公布されました。
ちょっとタイムリーさを欠いてしまいすみません。
上記記事の中で天井脱落対策に関する技術基準に関しての資料をリンクしましたが、ほぼその工程通りに告示の公布まで順調に策定されているようです。
特定天井の要件 まとめ
つまるところ、特定天井とは
・吊り天井であって、次のいずれにも該当するもの
(詳細は当告示771号第1の第1号に規定)
1 居室、廊下その他人が日常立ち入る場所に設けられるもの
2 高さが6mを超え、水平投影面積が200㎡を超えるもの
3 天井面構成部材等の単位面積質量が2キログラムを超えるもの
(天井を構成する部材の質量が、2Kg/㎡を超えるもの)
と規定されました。
また、施行の日程も以前の記事のとおりで、平成26年4月1日です。
いわゆる新年度開始と同時に特定天井についても建築確認の審査対象となるわけです。
重要なことなので何度でも書きますが、この告示に該当するような規模の建築物を計画されている場合は、申請スケジュールも含め、構造検討について対策しておく必要があります。
特定天井に関する、既存不適格建築物への対応は?
また忘れてはならないのは、『建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第3条第2項の規定により法第20条の規定の適用を受けない建築物の増改築が法第86条の7の制限の緩和を受ける要件として、特定天井が、脱落のおそれがないものとして国土交通大臣が定める基準に適合する構造方法に該当しなければならないこととする。』という、既存不適格建築物への増築における、規制の強化部分です。
天井の脱落防止については、建築物の構造がいくら新耐震基準に適合していようが、安全性は担保されないということです。
特定天井の存在が考えられる用途として、大規模建築ではホテル等で大空間のロビーや宴会場があるもの、商業施設のアトリウム、市民ホールなどが考えられますし、パチンコ店でも開放的なデザインのものであれば該当しますし、物販店舗でも同様のことが考えられます。
建築物の安全性確保が最優先
この告示の本質を考えれば、やはり建築空間の安全性の確保ということですから、規制強化を嫌がっていても始まりません。
給湯器の告示が今年の4月に改正されましたが、まだまだ確認申請に反映するのを忘れてしまう申請者も多いという話を聞きました。
天井の脱落防止に関する告示も建築業界にしっかり浸透するまでは時間がかかるのかもしれませんが、安全な建築物の設計は建築士の使命ですから、確実な理解と十分な準備をしておきたいものです。
建築基準法 目からウロコの確認申請 | ||||
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