建築確認News 天井脱落防止関連続報 パブコメ結果公示

このところ、天井脱落防止の話題ばかりですが、忘れた頃に改正法が施行されるものなので、意識するためにしつこくやっております。
まずは、パブコメ結果公示先のリンクから

安全上重要である天井及び天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件等を制定・一部改正する告示案に関するパブリックコメントの募集の結果について

上のリンクから見ていただければ、わかるのですが、それだとあまりにも芸がないので重要と思われる質疑応答をピックアップしてみました。
設計実務に携わっている方は、結果公示内容をひと通りご確認いただくことをおすすめします。

・技術資料、ガイドライン、解説書が必要。提供時期を明示すべき
→今後、設計・審査等が円滑に行われるよう、天井の許容耐力等を確かめるための試験評価方法や技術的知見などを、順次、情報提供を行うこととします。平成25年の秋を目途に技術解説書を取りまとめ、HPで公開することとしています。

・無人の工場は「安全上重要である天井」の対象外となっているが、対象となる場所の判断基準を明示すべき
→規制の対象外となるのは無人の工場や機械室等、人が日常立ち入らない場所になります。人が日常立ち入る場所であれば規制の対象となります。

・「天井材は、ボルト、ねじその他の接合方法により相互に緊結」となっているが、対象となる部材や緊結の方法を明示すべき
→原則として全ての天井材相互の接合について、緊結することを求めています。一般的なクリップやハンガーだけでは耐震性が確保されないと考えており、地震時に天井に生じる慣性力を適確に構造耐力上主要な部分に伝達するためにねじ留め等の措置が必要と考えております。
技術解説書で接合部の試験評価法を例示する予定です。

・グラスウール、ロックウールその他の軟質な繊維上の材料からなる単位面積質量が4kg以下の天井板で、適切に取り付けられているものを除いているのはなぜか。
→グラスウールボード等の軟質な繊維状の材料で単位面積質量4kg以下の天井板は、落下しても危険性が低いため

・「天井面構成部材に天井面の段差その他の地震時に有害な応力集中する恐れのある部分を設けない」とあるが、段差部のクリアランスを設けて応力集中を解消した場合や、補強により剛性及び強度を確保した場合は、該当しないか。
→段差部にクリアランスを設けて応力集中を解消した場合は「有害な応力集中する恐れのある部分」には該当しません。一方、補強により剛性及び強度を確保した場合は、「有害な応力集中する恐れのある部分」に該当し、仕様ルート(平25国交告第771号第3第1項)では許容していません。
クリアランスの構造方法については技術解説書で例示します。

・吊り長さは3m以下としているが、3mを超える場合の対処方法を示すべき。
→構造耐力上主要な部分に緊結した天井の支持構造部で十分な剛性を有するものを設けることで、吊り長さを3m以下とすれば、仕様ルートに適合可能です。構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合も3mを超える吊り長さとすることができます。

・水平補剛材の規定について、取付間隔等の詳細が明記されておらず、水平力に対する構造的な役割が明確となっていない。
→基準上、水平補剛材の有無によって水平力に対する構造性能は変わらないため、ご指摘を踏まえ、水平補剛材の規定は削除します。
なお、水平補剛材の設置を禁止するものではありません。

・構造計算により安全を確認する場合は、構造専門の担当者である必要はないか。
→法第20条第1号又は第2号に掲げる建築物に該当するものの構造設計を行った場合においては、構造設計一級建築士の関与が必要となります。

・安全上重要である天井の構造計算を行った場合に建築物全体の計算がルート2又はルート3の時は、構造計算適合性判定で判定する事項に天井の計算は含まれるのか。
→天井の構造計算は構造計算適合性判定の審査内容に含まれます。

・既存建築物における、安全上重要である天井の改修について、新築時の基準の他、天井の落下防止措置が認められているが具体的な仕様を明示すべき。
→天井材の落下による衝撃が作用した場合においても脱落及び破断を生じないことが確かめられた部材の設置により、天井の落下を防止する措置を求めています。

・安全上重要である天井に関して、どのような図面を表記し、どのように建築確認を行うのか明確にすべき。
また中間検査や完了検査において、検査対象となるか。
→省令において令第39条第3項に規定する構造方法への適合性審査に必要な事項を明示した図書の提出を規定しています。
また、建築確認においては、材料や構造の変更により強度や耐力が減少する変更等を除き、軽微な変更として扱うことを規定しています。
中間検査や完了検査において、特定天井も検査対象となります。

結局半分以上抜粋することになってしまいましたが、寄せられた意見のうち重要なものを掲載しているのですから当然といえば当然です。
特定行政庁や確認審査機関は、法改正があると、新たな規制に対してシビアに審査する傾向があります。
なかでも、構造一級建築士の関与や、構造適判への対応は気をつけたいところです。

構造計算がある場合は構造事務所と、既存不適格物件の増築の場合は審査機関と、先手先手で調査、打ち合わせをして手戻りがないようにしっかりと準備して行きましょう。

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