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「性能を偽装した免震オイルダンパー」を採用した工事中の物件に工期延長が生じた場合、仮使用認定によりそのピンチを乗り切れるのか??
という点について、国交省の通達に基づいて説明します。
(上の写真は記事の内容とは関係ありません)
仮使用認定を受ける場合は、「特定行政庁」による認定に限られてくる
今般の免震オイルダンパーの性能偽装関連の事案を受けて、国交省が通達を出しています。
そのなかで、当該ダンパーの交換工事前における仮使用に関しての記載があります。
建築基準関係規定に適合していない建築物であっても、法第7条の6第1項第1号に規定しているとおり、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めた場合には、特定行政庁による仮使用認定は可能である。
なお、建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)により創設された指定確認検査機関等による仮使用認定事務については、建築基準法第7条の6第1項第2号の国土交通大臣が定める基準等を定める件(平成27年国土交通省告示第247 号)において、新築の工事係る建築物の仮使用認定の基準として、当該建築物が建築基準関係規定に適合することを規定している。したがって、免震オイルダンパーの大臣認定等不適合事案に係る建築物については、 免震オイルダンパーの交換工事前においては、 指定確認検査機関等による仮使用認定ができないことに留意されたい。
すなわち、仮使用の認定を受けて、部分的に竣工している部分を使用し始めることは可能ということになります。
しかしながら、「指定確認検査機関」による仮使用認定に関しては、裁量的な取扱が不可能であることから認定を受けることが出来ないという点は要注意となります。
一方で、現場の条件によっては、仮使用認定が不要となる可能性もあります。
仮使用 が不要である建築物について
大臣認定仕様に適合 、顧客契約に不適合である免震オイルダンパーが用いられている建築物で、顧客契約に不適合である実況を踏まえた構造計算により安全性が確認された建築物については、 完了検査を行ったうえで検査済証の交付が可能であり、仮使用認定は不要である。
検査記録の偽装があったものの、大臣認定仕様には適合しているという製品も存在しています。そういったダンパーは顧客契約の内容には不適合である、ということになります。顧客契約の設計条件のほうが、大臣認定仕様よりも厳しい設計条件になっていたためです。
これらの場合は、構造計算により安全性が確認できれば、完了検査を受けることができ、仮使用認定を受けなくても使用可能になるという可能性もあります。
交換用に出荷される免震ダンパーの性能確認について
なお、国交省より、交換用に出荷されるダンパーについて以下のように付け加えられています。
交換用に出荷される製品の質について
交換用の製品を含め、平成30年9月28日以降にKYB(株)又はカヤバシステムマシナリー(株)から出荷されているダンパーについては 、検査データの書き換えがなされないよう 、性能確認試験が第三者機関による全数立会のもとで実施されているところである。
根拠資料は以下の通達となります。
国住指第2406号 平成30年10月23日
カヤバの案件の後にも川金ホールディングスがデータ改ざんを公表しましたが、公表が通達発出と同日のため、それについてはまだ通達には言及されていません。
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