物置の基礎の記事について、ご質問とその回答

建築確認Tips  庭先の物置の基礎はコンクリートブロックじゃダメなのか?
上記の記事についてご質問を頂きました。
ご連絡をいただきましたM様、本当に有難うございます。

以下、ご質問を原文のまま掲載させていただきます。

「10㎡以下の物置は基礎の仕様は問われない」とありますが、ヨドコウ等のプレハブ物置もでしょうか?
建設省告示を見ると「木造の建築物のうち」、「茶室、あずまやその他これらに類するもの」又は「延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類するもの」と、「木造」が「茶室、あずまや等」と「10㎡以下の物置、納屋等」の両方にかかるようにも読めそうです。
建築基準法施行令40条以下に木造についての規定があり、同様の表現が出てきていることからも、「木造については色々大目に見るよ」という考え方なのかと。
そう考えると、庭先によくあるヨドコウ等のプレハブ物置は、10㎡以下であっても、木造ではないので基礎はブロックは不可、ということになるのでしょうか??

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基礎の告示、令第40条を確認してみる

まずはくだんの告示について

平成12年建設省告示第1347号
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第38条第3項及び4項の規定に基づき、建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を次のように定める。
第1
建築基準法施行令(以下「令」という。)第38条第3項に規定する建築物の基礎の構造は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度(改良された地盤にあっては、改良後の許容応力度とする。以下同じ。)が1平方メートルにつき20キロニュートン未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造と、1平方メートルにつき20キロニュートン以上30キロニュートン未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造又はべた基礎と、1平方メートルにつき30キロニュートン以上の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造、べた基礎又は布基礎としなければならない。

木造の建築物のうち、茶室、あずまやその他これらに類するもの又は延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類するものに用いる基礎である場合
以下略

続いて令第40条

第三節 木造
(適用の範囲)
第40条
この節の規定は、木造の建築物又は木造と組積造その他の構造とを併用する建築物の木造の構造部分に適用する。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物については、適用しない。

基準法を読みにくくさせている「若しくは」「又は」「及び」「並びに」

ご質問いただいた内容のポイントは、「基礎の仕様が不問となる10㎡以下の物置は、木造でなければならないのではないか」と読み取れます。
つまり、告示の文中に出てくる「又は」をどう読むかが焦点となります。

小見出しにあるように、建築基準法に限らず、法律の文章は読み方に慣れないと解釈に悩む語句が使われています。

ただ、これは法律を記述するルールなので、建築基準法だけを
「木造のあずまやとか、10㎡以下の物置とかは基礎は何でも良いものとする」
という風に表現することは出来ません。

だから、様々な解説書が世の中には存在しているわけです。

「若しくは」「又は」は選択(or)の接続詞

「若しくは」は結合される語句が同じ種類の場合に使われます。

一方、「又は」は結合される語句の種類が異なる場合に使われます。

建築基準法に登場しそうな例で言うと、
「小学校若しくは中学校又は病院」という具合に使います。

この時、小学校と中学校は同じ「学校」のくくりなので「若しくは」となり、学校と病院は種類が異なるので「又は」となります。

「及び」「並びに」は並列(and)の接続詞

今回頂いた質問には直接関係ありませんが、ついでに「及び」「並びに」の使われ方はどうなっているのでしょうか。

これらも「若しくは」「又は」と似たような使われ方がされており、「及び」は同じ種類の接続の場合、「並びに」は種類の異なるもの同士の接続の場合となっています。

つまり、「小学校および中学校並びに病院」というように使います。

細かな意味合いは、省きます。

結論:10㎡以下の物置の構造は木造に限らない

さっさと結論を出しやがれという声も聞こえてまいりましたので、いま一度告示を見てみます。

木造の建築物のうち、茶室、あずまやその他これらに類するもの又は延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類するもの

ここでは「又は」が使われていますので、上にあるように「選択の接続で、種類の異なるもの」であることが分かります。

したがって、「木造の建築物のうち、茶室、あずまやその他これらに類するもの」と「延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類するもの」を選択の接続詞で結合しており、「延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類するもの」は木造であるかどうかは問われていない、と読むことになります。

ちなみに、令40条についても同様ですが、こちらの場合は前置きに「この節の規定は、木造の建築物又は木造と組積造その他の構造とを併用する建築物の木造の構造部分に適用する」とあり、木造であるか、木造と組積造その他の構造を併用する建築物に限定されています。

さらに言えば、物置や納屋の用途であれば10㎡以内と条件が有りますが、茶室とあづまやは床面積に関する制限がありません。

物置の基礎:まとめ

建築基準法の記述は本当にわかりづらく、ややこしいです。
その一方で、読み方のコツを掴めば、とたんに書いてあることがわかり始めます。

結局はどれだけ理解しながら読むか、何度も繰り返し読むかにかかっていると思います。

偉そうに語る私も未だに完全に理解できない条文がたくさんあります、というか大抵がそうなので、わかるまで何回でも基準法を読み、参考図書を読み、また基準法に戻ってと、繰り返して読みます。

ご質問、ご意見は本当にありがたいことです

このようなカタチで、私のような謎の人物が作成しているサイトに対し、ご意見・ご質問をお送り頂けるのは本当にありがたいことです。

そのたびごとに、条文を読み、参考図書を参照し返答の記事を書くことで、自分自身の理解が深まります。
結果的に、私自身もより深く学ぶことが出来ます。

それと同時に、この画面の向こう側で私の書いた記事を読んでくださる方が大勢いることが何より励みになっております。

ブログ形式なので目的の記事を見つけにくいとは思いますが、今後とも皆様のお役に立てる記事を作成してまいりたいと思いますので、よろしくお願い致します。

建築基準法 目からウロコの確認申請
by カエレバ

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