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居室の定義を改めて確認してみる

公開日: : 最終更新日:2014/04/12 建築基準法, 建築確認 ,

建築基準法の「居室」の定義は?

建築確認に必ずついて回る「居室」に関する条文。
その居室の定義をはじめ、居室についての情報をまとめてみたいと思います。
まずは、何はともあれ、条文の確認。

(用語の定義)
第二条
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(中略)
四  居室
居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。
(後略)

条文だけで、なんとなく意味はわかりますが、「その他これらに類する」という文言が含まれるだけで、無限の解釈が生まれると言っても過言ではないのが、建築基準法。
具体的に居室とみなす室と、居室とみなさない室を見ていきます。



居室とみなす室

居室というと、居住するための室と考えられている向きがありますが、上記の条文のとおり、居住にかぎらず執務や作業等に利用される室も居室です。

また、それに加えて、継続的に使用されていることも居室の条件となっています。
継続的使用は特定の人の継続的使用ばかりでなく、不特定多数の人が入れ代わり立ち代わり使用する室も、同様に居室となります。

具体的には、
住宅のリビング、ダイニング、寝室、書斎
事務所の事務室、会議室、役員室、守衛室
病院の病室、診察室、ナースステーション、待合
物販店舗の売り場、事務所、休憩室
工場の作業室、事務所、研究所
ホテルのロビーや映画館の客席、飲食店の客席も居室となります。

居室とみなさない室

では逆に、居室とみなさない室にはどのような室があるでしょうか。

住宅の玄関、廊下、階段、トイレ、洗面室、浴室、納戸は居室でない、すなわち非居室です。
同様に、事務所や物販店の倉庫、機械室、車庫、更衣室は居室ではありません。

倉庫業を営む倉庫で事務室等が併設されていないような建築物の場合は、全体が非居室となります。

廊下は「室」なのか

居室か非居室かの区別において、廊下というのは立ち位置が微妙です。

トイレや倉庫は室としての間仕切りがしっかりしている場合が多く、感覚的に「部屋」だなということが理解できますが、廊下を「部屋」すなわち「室」として捉えるのはやや抵抗がありますし、かつては「室」とはみなされていませんでした。

しかし、避難安全検証法の誕生により、廊下も「室」として捉えて避難時の安全を検証することができるようになり、その流れを受けて、現在では、廊下も「室」として建築基準法の規定を適用するようになっています。

例えば排煙設備の必要な建築物の場合、居室非居室に関わらず排煙チェックが必要ですが、廊下を「室」として考えることで、告示緩和を適用することができます。

居室になったりならなかったりする室

住宅の浴室は居室扱いをする必要がありません。

というのも、居室の条件となる「継続的利用」に該当しないからです。
一方、公衆浴場、最近ではスーパー銭湯も多くなっていますが、そのような施設の浴室部分は当然居室です。
温泉旅館の大浴場も居室です。

老健施設の浴室は、判断に悩む場合があります。

デイサービスでは、お風呂の利用で通っている利用者も多く「継続的利用」に当てはまる場合が出てきます。
特定行政庁や確認審査機関によっては、継続的利用があるかどうか、設計者に問い合わせる場合もあるようです。

同様な施設は高齢な方、健常者ではない方の利用も多くあるものもありますから、設計する場合は居室と考えて防火や避難に関して対策しておくのが賢明といったところでしょうか。

また、上記ような老健施設や学校、幼稚園の場合に設けられる「相談室」なる部屋。
これも対処に悩む場合があります。

会議室と同等と考えると「居室」になりますが、利用頻度や部屋の規模から、無窓になる場所に配置されてしまいがちです。
木造建築物の場合なんかだと、採光無窓は命取りになる場合もあります。

どうして命取りなるのかピンと来ない方は、下の記事を御覧ください。
間違えてはいけない 無窓居室の解釈の補足

結局この場合は、浴室のパターンとは逆で、「継続的利用」が無いものとして「非居室」として設計することになってきます。

このあたりはいわゆる「申請主義」というヤツで、図面に記載されていることが正しいものとして建築確認は審査される部分であり、デリケートな問題を多分に含んできますから、ギリギリの設計をする場合は事前に申請先に相談しておくようにしてください。

居室かどうかが決まるのは設計者の考え次第?

つまるところ、居室とも非居室ともとれる微妙な室は、設計者が居室といえば居室になり、その逆もまた然りと言えます。

ただし、特殊な用途の室で居室、非居室の区別をした前例がないような場合、審査機関側も慎重に判断する場合が考えられます。

上記の浴室や相談室の場合は、利用実態に応じた判断が必要になるケースです。

また、マンションの間取りを見ていると、「サービスルーム」なる部屋名が使われている場合があります。

これは利用実態云々とは別の次元の話で、緩和規定の無い「1/7採光が取れない部屋」を「非居室」として設計している例です。
(採光無窓に関する規定は▼の記事を御覧ください。)
無窓居室の判定、検討のうち、採光無窓に関する重要チェックポイント

2階建ての一戸建て住宅で、1階の北側隣地側に設けられた寝室を「納戸」として建築確認を申請するのと同じことですね。

図面上では明らかに寝室のように見えても、「納戸」と表記されていれば審査機関側は文句の言いようもありません。

脱法行為と言ってしまえばそれまでですが、図面が建築基準法に適合しているかを審査するのが建築確認なので、こういった問題は建築主や設計者の良心の問題に関わってきてしまうのです。

居室に対する制限

「居室」は、その定義にもあるように「継続的利用」がなされる室ですから、当然建築基準法による制限も厳しくなります。
設計の際に法規チェックを行っていることのほとんどは、実は居室に対するチェックだったりします。

仕事として当たり前のようにしているチェックも、「居室」であることを意識して取り組むとまた違った見え方があるかもしれません。

居室の環境・衛生

居室の環境・衛生に関する制限としては

・採光のための開口部に関する基準
・換気のための開口部に関する基準
・地階に設ける居室の基準
・天井高さや床の高さに関する基準

等が考えられます。
建築基準法の条文で言うと、28条、29条のあたりですね。
建築基準法施行令では19条から22条の2までが該当してきます。

特に施行令の21,22条は建築士であればあたり前のこととして体に染み付いていることかもしれませんが、改めて基準法を開いていみるのもたまにはいいものです。

居室の防火・避難

居室の防火・避難に関する制限としては

・所定の開口部を有しない場合の区画に関する基準
・排煙設備の設置に関する基準
・非常用照明の設置に関する基準
・壁や天井の内装仕上げに関する基準

等が考えられます。

建築基準法では、35~36条、建築基準法施行令では126条の2~126条の5、128条の3の2~129条が該当してきます。
法35~36条までは、防火避難関係をほぼ網羅する部分ですので、それだけ居室に対しては制限が厳しいということです。

他にも、施行令80条の3では、「土砂災害特別警戒区域内における居室を有する建築物の構造方法」という規定があり、そんなに頻繁に目にすることはないかもしれませんが、居室を有するかどうかで適用の可否が変わる規定です。

居室に関するまとめ

・居室とは
居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室
のことである。
特定の人の継続的使用ばかりでなく、不特定多数の人が入れ代わり立ち代わり使用する室も居室である。
・居室として判断が難しい用途の室は利用実態に応じて判断する

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