面積区画が不要となる「用途上やむを得ない場合」のまとめ

法チェックで避けて通れない、面積区画の規定における区画が不要となる、「用途上やむを得ない場合」についてまとめます。

様々な情報から厳選してまとめてあるので、きっとお役に立つはず。

面積区画に関する規定はこちら「防火区画:面積区画総まとめ」にまとめてあります。

その中の、面積区画の特例的な取扱いに関する記事となっています。


面積区画の緩和規定に関する条文

まずは、建築基準法の記述から確認します。

(防火区画)

第112条  

主要構造部を耐火構造とした建築物又は法第2条第九号の三 イ若しくはロのいずれかに該当する建築物で、延べ面積(略)が1500平方メートルを超えるものは、床面積の合計(略)1500平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準(略)に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(略)で区画しなければならない。

ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ない場合においては、この限りでない。



劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客席、体育館、工場その他これらに類する用途に供する建築物の部分



階段室の部分又は昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)で一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたもの

中略

4  

前2項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分で、天井(天井のない場合においては、屋根。第六項、第七項及び第九項において同じ。)及び壁の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものについては、適用しない。

一  体育館、工場その他これらに類する用途に供する建築物の部分

以下略

この記事では、特に112条1項ただし書きの1号と、112条4項についてまとめています。

令112条1項1号と4項1号の違い

やむを得ない場合に言及する前に、112条の1項1号と4項1号の違いについてお話します。

4項の本文に、「前2項の規定は」という記載があります。

この「前2項」とは、令112条2項、3項のことで、法27条や法21条等の規定により、耐火要求のある建築物を定めた規定となっています。

つまり、第4項に記載されている内容は、あくまで2項または3項に該当する建築物のみに適用されることになります。

例えば、防火準防火地域外にある2000㎡の工場の計画で、防火壁をかわすために準耐火ロ-2の仕様にすること(法26条ただし書き)はよくあると思います。

このとき、「ロ-2」という部分だけを捉えて、「112条2項の仕様に該当するから内装を準不燃で仕上げれば面積区画不要になるな」、という考え方は間違いです。

防火壁の設置をかわすために準耐火建築物とした場合は、法26条ただし書きによる任意のものであって、112条2項また3項の規定によるものではないため、面積区画緩和については1項ただし書きの規定が適用されます。

4項が適用される例として、準防火地域内の1300㎡ほどの工場(作業場が1200㎡、諸室が100㎡)で、準耐火ロ-2、工場部分の内装が準不燃材料の仕様にして建築物であれば、作業場部分が1000㎡を超えていますが、諸室との間を防火区画すればよい、ということになります。

なお、4項の規定により防火区画が緩和される場合でも、1項の1500㎡の区画は必要です。(1項ただし書きで緩和される場合を除きます)

正直、1項ただし書きと4項の適用を間違えるパターンは少ないと思いますが、1項ただし書きにも4項にも「体育館、工場」という記載が登場するので、こんがらがってしまう可能性もありますよ、ということです。

面積区画免除でよくある勘違い

面積区画が免除される規定についてただなんとなく基準法を読んだだけだと、どうしても起こる勘違いがあります。

それは「劇場、体育館、工場などのような大空間が必要な建築物は、建築物全体について面積区画が免除される」という考え方。

上の解釈は間違っていますし、いろいろと危険です。

面積区画の基本は、「区画できる部分は区画する」ことで、用途が該当すればフリーパスとはなりません。

詳細は以下でお話します。

令112条1項ただし書きの「用途上やむを得ない場合」の考え方

※1項1号に記載されている「その他これらに類する用途」とは

1項1号には具体的用途として

・劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客席

・体育館

・工場



が例示されています。

他にも該当する具体的な用途として、

・ボーリング場

・屋内プール、屋内スポーツ練習場

・不燃性の物品を保管する立体的な倉庫

・卸市場、仲買売場等の売場、買い荷の保管または積み込み等の荷捌き場

などが考えられます。

ただし、あくまで区画が免除されるのはやむを得ない場合に該当する部分のみで、併設された別の用途の部分などが存在すれば区画は当然に必要になります。

また、「不燃性の物品を保管する立体的な倉庫」とは、人やフォークリフトを使って荷物の出し入れを行う多層式倉庫のことで、ラック式倉庫や立体自動倉庫は含まれません。

勘違いしやすい、「用途上やむを得ない場合」について

区画が不要となるのは、「やむを得ない場合」に該当する部分のみで、その建築物のすべての部分が区画免除になるわけではありません。

例えば生産ラインのある工場、屋内スポーツ練習場ならば、全体が面積区画不要でラッキー、とはなりませんので要注意です。

防火区画の規定の趣旨から考えても、火災の延焼・拡大をくい止めるためのものですから、区画が可能な部分は区画をする必要があります。

繰り返しますが、免除されるのはあくまで「やむを得ない場合」に限られ、建築物全体ではありません。

例えば、大規模な劇場の客席部分や、工場の生産ラインによる大空間が必要な部分は、「やむを得ない場合」に該当するため区画が免除されますが、付属する諸室などがある場合で、区画が可能であればその部分とは区画しなければなりません。

その他、やむを得ない場合に該当するケースとして

・工場で、作業クレーンの移動またはベルトコンベアー等による一連の作業が行われている場合

・倉庫において、冷蔵品を保管するため火災の発生の恐れが少ない

等の、客観的に見て「やむを得ない」場合が該当します。

倉庫内でフォークリフトの走行に防火区画壁あると邪魔だから区画を作りたくない、というのはNGということです。

その他、これらの項目に該当しない案件は、速やかに行政や申請先に相談しておくのが得策です。

区画が不要と考えていたところ、申請してから区画追加となると、いろいろとシャレになりませんので。

「防火区画設置免除願い」とは

前出の行政や申請先への相談という意味合いと同じような位置づけとなりますが、やむを得ず防火区画を設置できない場合の理由の説明書として、「防火区画設置免除願い」なる書類を申請者(建築主)名または申請代理者名で添付する場合があります。呼び名も似たような名前でさまざま存在すると思います。

地域や設計事務所によっては、慣例的に添付していることもあると思います。

そもそもの始まりは、まだ防火避難規定の解説のような資料などが充実していない時代に、条文から読み取るのが難しい面積区画が不要となる「やむを得ない場合」について、事前に防火区画設置免除に該当する事情を特定行政庁と打ち合わせし、その打ち合わせの記録を証明する意味合いで添付されることが多かったようです。

つまり、これまで添付してきたから今回も付けときます、というのではあまり意味がなく、また、とりあえず添付しときゃどんな場合でも免除できる、という何でもありの免罪符ではないということはわかっておきたいところです。

建築基準法で添付すべき図書として規則に記載されているわけではなく、あくまで事前打ち合わせの内容を確認するためのもの、という程度の書類と考えるべきでしょう。

面倒な規定は書籍をいろいろ見比べると発見がある

この記事を作成するにあたり参照した図書たちです。防火区画以外でも役に立ったり、新たな発見があるかもしれません。

建築関係の書籍は安くはないですが、見たことのない資料を読むのは結構楽しかったりします。近所に大学があれば、大学の図書館で参照できたりします。

何度も登場する防火避難規定の解説は、本当に口が酸っぱくなるほど言っていますが、意匠設計者の必携アイテム、バイブル的存在なので設計時は必ず参照してください。

建築物の防火避難規定の解説2016
by カエレバ

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