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防火区画:面積区画総まとめ

公開日: : 最終更新日:2016/10/10 防火避難関係規定 ,

防火避難規定の重要規定である、防火区画の規定のうち、面積区画についてまとめました。
面積区画の一種である高層区画については、別途まとめます。

 

防火区画の目的

防火区画の目的は、火災の拡大を防止です。建築物内部といくつかの部分に区画し、火災をその区画内に閉じ込めてしまうことで、火災の延焼拡大を防止し、被害を最小限にとどめることが出来ます。と同時に、避難、消火、救助活動を容易にすることが出来ます。
これは、面積区画にかぎらず、竪穴区画、異種用途区画も同様で、大規模建築物の防火避難規定の基本中の基本ということが出来ます。
全館避難安全検証法を行うことで、高層区画、竪穴区画は緩和することも可能ですが、面積区画は施行令112条に規定されている以外は緩和する方法はありません。

面積区画の種類

防火壁による区画(法26条)

面積区画というと、施行令112条に規定される内容ばかりに意識が行きがちですが、法26条に規定される防火壁も面積区画の一種と考えることが出来ます。
詳細については、別記事にまとめてありますので、参照してください。

防火避難規定 法26条 防火壁の規定について

施行令112条による防火区画(法36条)

施行令112条の第1項から第4項までが、面積区画の規定です。
第1項から第3項までは、建築物の耐火性能等により区画の要件等を定めており、第4項では第2項、第3項に関して除外規定を定めているという構成です。
また、第1項には、スプリンクラー等を設置した場合の緩和措置や、ただし書きによる除外規定が定められています。
それぞれの条項については、以下に説明します。

面積区画の要件(令第112条第1項~第3項)

面積区画についての条文を表にまとめると、以下のようになります。
この表を見ながら、各項ごとの規定を確認していくとわかりやすいと思います。

▼クリックで大きな画像を参照できます
面積区画 総まとめ

耐火建築物、準耐火建築物、準耐火構造といった用語の区別や、準耐火建築物の種別は大変ややこしいですが、これがわかっていないと防火区画の規定を理解することは出来ませんので、頑張って理解してください。
過去記事にまとめがありますので、参照してください。

防火避難規定 耐火建築物と準耐火建築物

令112条第1項の規定について(1500㎡区画)

令112条第1項に該当する防火区画が必要な建築物とは、いわゆる「任意で耐火建築物、もしくは準耐火建築物としたもの」が該当します。
逆に、令112条2項や3項は、耐火要求のある特殊建築物や防火準防火地域内の建築物などに対する規定により、建築物に所定の耐火性能を持たせたものが対象です。

令112条1項の適用を受ける例として多いのは、法26条の防火壁の設置を免れるために耐火性能を持たせた場合でしょう。計画によっては防火壁を設けたほうが良い場合もありますが、ここは設計者の判断ですから、「任意」と呼ばれているわけです。

令112条第2項の規定について(500㎡区画)

令112条第2項は、いろいろな条文が関連して構成されていて、大変ややこしいです。

法第27条2項(耐火または準耐火建築部の要求)、法第62条第1項(準防火地域内の建築物)、法第67条の2第1項(特定防災街区整備地区内の建築物)の規定により、準耐火建築物とした建築物が対象となりますが、「~を除く」により、準耐火建築物「ロ-2」と「イ-1」が除外されています。耐火建築物については記載が無いため、耐火建築物は第1項の規定を受けるということが分かります。

令112条第2項により面積区画が要求される、準耐火建築物「イ-2」「ロ-1」は、それぞれに求められる性能をよく確認するとわかりますが、屋根や外壁以外の主要構造部について、防火上の措置が求められていません。そのため、延焼の恐れが、他の仕様の準耐火建築物より大きいと判断されるため、500㎡以内ごとに、やや細かく面積区画を施す必要があるのです。

さらに、区画だけでは足りないということなのでしょう、防火上主要な間仕切り壁についても準耐火構造とすることが要求され、小屋裏、天井裏に達せしめなければなりません。

令112条第3項の規定について(1000㎡区画)

令112条第3項も、第2項と同じようにたくさんの条文に関連し、ややこしくなっています。

法第21条第1項(大規模木造)ただし書きの規定により準耐火「イ-1」としたもの、法第27条第1項(耐火建築物の要求)ただし書きの規定により準耐火「イ-1」としたもの、法第27条第2項・法第62条第1項・法第67条の2第1項(令112条第2項にも記載のあった条項)により準耐火「イ-1」もしくは「ロ-2」としたものは、1000㎡以内毎に防火区画を設けなければなりません。

令112条第2項の準耐火建築物よりは、延焼に対して一定の防火性能を有していることから、第2項ほど細かく区画する必要が無いということです。

2項、3項ともに大変読みにくい条文ですが、しっかり理解するという意味でも、必ず法令集を読むようにして下ださい。準耐火建築物の区別についても、覚える必要はないですが、条文でその都度確認するようにしてください。
そうすれば、竪穴区画の部分で出てくる「準耐火構造」と、「準耐火建築物」がこんがらがって訳が分からなくなるという事態を未然に防げます。

防火区画の緩和 スプリンクラー設備等の設置部分

令第112条第1項本文中に
(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の2分の1に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)
というカッコ書きがあります。

これがいわゆる、防火区画における「面積の倍読み」というものにあたります。

ここで注意しなければならないのは、スプリンクラー等の自動消火設備を設置した「部分」だけを「倍読み」できるのであって、建築物全体に及ぶというわけではない、という点です。

例えば、延べ床面積2000㎡の耐火建築物があるとして、自動消火設備を設置した部分が1000㎡、設置の無い部分が1000㎡あるとします。
この場合、自動消火設備を設置した部分の床面積の1/2が区画対象面積から除外されるため、(1000-500)+1000=1500㎡が防火区画が必要な面積となり、1500㎡を超えていないため、面積区画が不要となります。

極端にいうと、1500㎡区画が必要な建築物の場合、建築物全体に自動消火設備を設置すれば、3000㎡までは面積区画が不要になるということになります。

また、スプリンクラー等の自動消火設備を設置した部分の緩和規定は、条文に「以下この条において同じ」とあることから、面積区画にかぎらず適用できる緩和規定となっています。

面積区画の適用除外について

面積区画の適用除外規定についても、法令集に記載のある事項については、まとめの画像で確認できます。

第1項ただし書きと第4項の除外規定の違い

まず注意が必要なのは、第1項のただし書きは当然第1項についてのみの緩和で、第2項と第3項については第4項に緩和規定が定められていることです。

第1項ただし書き第1号と第4項第1号は、内容が似てはいますが、用途や内装仕上げに関する部分が異なっています。第2項、第3項の規定が適用される建築物の耐火性能等を鑑みた結果と考えられますので、十分に注意して緩和について検討しなければなりません。

なお、階段室や昇降機の昇降路に関する部分の緩和は、第1項も第4項も同じとなっていますが、第4項は天井、壁の室内に面する部分は準不燃材料で仕上げなければなりません。

第1項ただし書き第1号、第4項第1号の考え方

令112条第1項ただし書きの第1号を適用する際に注意すべき点は、劇場や映画館等の客席、工場の生産ライン等のように、大空間が必要で区画できない部分は区画不要ですが、その建築物全体が防火区画が不要になるわけではないことです。
大空間が必要な部分と、他の部分とは区画が必要になります。
例えば、任意に準耐火建築物とした工場で、生産ラインがある作業場部分が2000㎡、事務所部分が500㎡の場合、作業場部分は「やむを得ない」部分に該当しますから、2000㎡あっても区画不要ですが、作業場と事務所との間は区画しなければなりなません。

また、第4項第1号では、第1項ただし書き第1号に記載のある、劇場や映画館、集会場といった用途は除外の対象となっていません。これは暗に、「劇場等の用途に供する建築物は、耐火建築物で造りなさい」という建築基準法からのメッセージと捉えて良いでしょう。
同じ意味で、第4項第1号を適用する際は、条文にもあるように、天井と壁の仕上げを準不燃材料としなければならない点も、見逃さないようにしましょう。

面積区画が不要となる用途上やむを得ない部分の考え方

面積区画が不要となる、「やむを得ない」部分は以下の様な用途、部分が考えられます。

  • 工場で、連続した生産設備等の設置により大空間を要する部分
  • 劇場や映画館、集会場の客席部分
  • 体育館、ボーリング場、屋内プール、屋内スポーツ練習場のホール、アリーナに該当する部分
  • 不燃性の物品保管のための倉庫(ラック倉庫、立体自動倉庫も含まれる)
  • 卸売場、仲買売場などの売場
  • 買い荷の保管や積み込みのための荷さばき場

上記のような用途(大空間での利用)が考えられますが、判断に迷うような用途や計画の場合は、申請先に事前に相談することも忘れないようにしましょう。

また、倉庫や工場に設けられた大きな庇の下など、床面積に参入される部分であっても、外気に十分開放された屋外的部分と判断できれば、区画の対象面積や対象部分から除かれます。


詳細は以下の記事にもまとめてあります。
面積区画が不要となる「用途上やむを得ない場合」のまとめ

面積区画が必要な部分とその構造

令112条第1項と第3項に要求される区画は、1時間準耐火構造の床、壁、または特定防火設備です。また防火区画の壁、床は主要構造部ですから、耐火建築物であれば耐火構造としなければならないので注意してください。

区画する特定防火設備については、令112条第14項に規定されていますが、第1項本文、第2項、第3項に必要な特定防火設備の性能と、第1項第2号で要求される特定防火設備の性能は異なります。
これは令112条第14項をよく読めばわかりますし、第1項第2号は階段や昇降機の昇降路の区画についての規定ですから、竪穴区画の規定と同様であると考えても良さそうです。

防火設備に関する事項は、別記事にまとめがありますので参照してください。

防火避難規定 防火設備(防火戸等)について
防火区画の防火戸の要件を修正しました
防火避難規定 防火区画 区画する防火設備や配管設備の措置について

また、防火避難規定の解説にもあるように、構造上重要でない小梁、胴縁、間柱なども、床や壁と一体となっている部分については、防火区画を構成する床や壁の一部として取り扱うことが「望ましい」とされています。
望ましいという表現ですから、強制力はないものの、設計者の良識が問われるということも言えます。

防火区画の部分の構成において、防火区画を形成する壁(ALC板など)の直上に梁がある場合は、梁も含めて床板まで区画を形成している必要が有るため、耐火建築物でなくても、該当する梁には耐火被覆が必要になることにも注意しましょう。(下画像参照)
防火区画 床壁構成図

防火区画は関連する基準法の条文も多いだけでなく、建築コストにも少なからず影響を及ぼしますので、法令集だけでなく、防火避難規定の解説や建築申請メモなどの参考図書は必須となります。
部分的に捉えずに、防火区画の意味を理解しながら検討するようにしてください。

スパンドレル部分に関するまとめはこちら
防火区画:スパンドレルのまとめ(令112条10項、11項)



(A様のご指摘により、一部修正。ありがとうございます。2014/7/29)

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